109D33

62歳の女性。動悸とめまいとを主訴に来院した。2年前に皮膚サルコイドーシスの診断を受け、薬物治療は行わず経過観察されている。3週前から労作時の息切れを自覚している。今朝から動悸と気が遠くなるようなめまいとが出現したため受診した。意識は清明。身長159cm、体重62kg。脈拍78/分、不整。血圧116/74mmHg。心雑音を認めない。下腿に浮腫を認めない。心エコー検査で左心室の一部が菲薄化し瘤状に変形し、収縮の低下を認める。Holter心電図を別に示す。
対応として適切なのはどれか。
アトロピンの投与
ジギタリスの投与
アドレナリンの投与
ジソピラミドの投与
植込み型除細動器〈ICD〉植込み術

解答: e

109D33の解説

皮膚サルコイドーシスの高齢女性に動悸やめまいといった循環器疾患を思わせる症状がみられる。画像Aではwide QRSが5発連発しており、画像Bではその頻度が増えている。心室頻拍〈VT〉の波形である。心エコーの所見(左心室の一部が菲薄化し瘤状に変形し収縮の低下)と合わせ、心サルコイドーシスの診断となる。実際の心エコー図は107D32で出題あり。
a 頻脈性不整脈にアトロピンを投与してはさらに心拍数が増加してしまう。
b 強心薬であり、心臓の興奮を増加させてしまう。心房性疾患であれば房室伝導を抑制する作用が期待できるが、現在は心室性不整脈がみられている。
c 心肺停止患者に使用する。
d ジソピラミドはIa群の抗不整脈薬であり、心室性にも使用可能(上室性のみ、と誤解している受験生が多いが、それは誤り)。ただし、心収縮力を低下させる副作用があり、心不全の存在下には禁忌とされる。ジソピラミドの副作用については、103G25もチェックしておくべき。
e 正しい。現在の状況を乗り切った後、今後の心臓突然死を予防すべく植え込み型除細動器を設置する。

正答率:81%

テーマ:心サルコイドーシスに由来する心室頻拍〈VT〉への対応

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