109D32

48歳の女性。全身倦怠感と浮腫とを主訴に来院した。38歳時に特発性肺動脈性肺高血圧症と診断され、エポプロステノール(プロスタグランディンI2製剤)在宅持続静注療法を受けている。1週前から、だるさで家事がおっくうになり、下腿に浮腫が出現したため受診した。下腿に軽度の浮腫を認める。胸部エックス線写真(A、B)を別に示す。
この患者に認められない検査所見はどれか。
心電図で肺性P波
心エコー図で左心室拡大
6分間歩行試験で歩行距離の減少
心臓カテーテル検査で肺血管抵抗上昇
胸部CTで中枢側肺動脈の拡張と末梢側肺動脈の急激な狭小化

解答: b

109D32の解説

特発性肺動脈性肺高血圧症の診断は既についている。画像Aでは心拡大と肺動脈の拡張をみる。カテーテル影がみえるが、これはエポプロステノールの持続静注のために鎖骨下静脈から挿入されているものであろう。画像Bでも著明な動脈の拡張がみられる。実質的に肺高血圧症に関する一般問題。
a 肺高血圧で右心負荷がみられるため、肺性Pをみる。
b 誤り。右心負荷をみるため、左心室の拡大はみない。
c 肺高血圧症では左心還流が低下し、心拍出量も低下する。それゆえ運動耐容能が低下する。
d 肺血管抵抗はむろん上昇する。
e 胸部エックス線でも中枢側肺動脈の拡張はみられる。末梢側の拡張はみられず、中枢側と比べると急激な狭小化としてみられる。

正答率:82%

テーマ:肺高血圧に由来する右心不全の検査所見

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