108I63

74歳の女性。意識消失を主訴に来院した。8年前に心雑音を指摘されていたが生来健康であり、そのままにしていた。数か月前から労作時に2分程度の前胸部圧迫感を自覚していたという。昨日、自宅にて意識を失って倒れているところを家族に発見されたが、呼びかけにて意識は回復したため本日になって受診した。ADLは自立している。脈拍72/分、整。血圧144/68mmHg。胸骨右縁第2肋間を最強点とする収縮期駆出性〈収縮中期性〉雑音を聴取し、心尖部にIII音とIV音とを聴取する。呼吸音に異常を認めない。下腿に浮腫を認めない。心電図で左室肥大所見を認める。胸部エックス線写真では、心胸郭比53%で、肺うっ血と胸水貯留とを認めない。心エコー検査で左室駆出率は43%。心エコー検査の断層像(A、B)と連続波ドプラ法で記録した左室駆出血流速パターン(C)とを別に示す。冠動脈造影で有意な狭窄病変を認めない。
対応として適切なのはどれか。
経過観察
強心薬投与
大動脈弁置換術
大動脈基部置換術
心臓ペースメーカ植込み

解答: c

108I63の解説

106D47107D30108I63、と3年連続で出題されているプール問題。胸骨右縁第2肋間を最強点とする収縮期駆出性〈収縮中期性〉雑音を聴取しており、大動脈弁狭窄症〈AS〉の診断は問題ないはず。画像Aでは大動脈弁の輝度上昇(硬化を示唆する)を、画像Bでは駆出時の大動脈弁直前のモザイクエコー(狭窄を示唆する)を確認できる。画像Cでは流速が5m/秒程度まで上昇しており、重度のASと判断できる。意識消失や前胸部の圧迫感は心拍出の低下による脳血流低下と冠血流低下を意味する。
a 重症であり、経過観察は不可。
b 強心薬により心収縮力を上昇させても、出口である大動脈弁が狭いため、意味がない。
c 正しい。重症ASに適応となる。
d 大動脈基部置換術は大動脈弁輪拡張症〈AAE〉の治療。
e 心臓ペースメーカ植込みは徐脈性疾患の治療。

正答率:95%

テーマ:大動脈弁狭窄症〈AS〉への対応

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