108I64

69歳の女性。血便を主訴に来院した。3か月前から便に血液が付着していることに気付いていた。便器の水が血で染まる色が徐々に濃くなったため受診した。既往歴に特記すべきことはない。下部消化管内視鏡検査による回盲部から約20cm肛門側の写真(A)と肛門から約30cm口側の写真(B)とを別に示す。写真Aの病変に対しては内視鏡的粘膜切除が行われ、病理所見は腺腫であった。同時に行った写真Bの病変に対しては生検が行われ、病理所見は腺癌であった。胸腹部・骨盤部造影CTで肺や肝臓などの主要臓器に転移を認めない。
対応として適切なのはどれか。
内視鏡的粘膜下層剥離術
右半結腸切除術
S状結腸切除術
低位前方切除術
大腸全摘術

解答: c

108I64の解説

画像Aはポリープである(病理所見に線腫、とある)。「回盲部から約20cm肛門側」とのことで、上行結腸ポリープであろう。経過観察で問題ない。他方、画像Bは2/3周性に不整な腫瘤がみられ、悪性病変が疑わしい。「肛門から約30cm口側」とのことで、S状結腸であろう。病理所見が腺癌であったことと合わせ、S状結腸癌の診断となる。こちらに対しては手術が必要となる。
a 内視鏡的粘膜下層剥離術は早期癌に有効。画像Bを見る限り、早期癌には到底みえない。
b 右半結腸切除術は上行結腸癌に有効。
c 正しい。主要臓器に転移を認めておらず、S状結腸のみを切除すればよい。
d 低位前方切除術はRa・Rbの直腸癌に有効。
e 大腸全摘術はやりすぎである。

正答率:79%

テーマ:S状結腸癌への対応

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