112F47

70歳の男性。肺癌治療後の定期診察のため来院した。6か月前に肺門リンパ節転移を伴う限局型小細胞肺癌と診断され、抗癌化学療法と胸部放射線療法の同時併用を行った。抗癌化学療法は3か月で、放射線療法は3週間で終了している。現在、喀痰と労作時呼吸困難はあるが肺癌治療開始前と比べて変化はない。63歳時に僧帽弁の人工弁置換術を受けている。体温36.4℃。脈拍68/分、整。血圧122/72mmHg。呼吸数18/分。SpO2 97%(room air)。呼吸音に異常を認めない。血液所見:Hb 10.8g/dL、白血球5,400。CRP 0.9mg/dL。肺癌治療前と今回来院時の胸部エックス線写真(A)及び放射線治療の照射野(B)を別に示す。

適切な対応はどれか。

抗菌薬投与
抗癌化学療法の追加
胸部放射線療法の追加
ステロイドパルス療法
1週間の経過観察後の胸部エックス線撮影

解答: e

112F47の解説

高齢男性の肺癌治療後定期診察。Bで示された照射野に沿って、Aでは透過性低下している部位がある。放射線肺炎である。
a 細菌感染を疑う症候はなく、不要な処置だ。
b・c 肺癌への治療は完了しており、これ以上抗癌化学療法を追加する必要はない。
d 呼吸困難や咳嗽といった症候が前面に出ている場合に副腎皮質ステロイド薬の投与が考慮される。が、本患者では「喀痰と労作時呼吸困難はあるが肺癌治療開始前と比べて変化はない」とのことで積極的な治療を行う必要性は乏しい。
e 正しい。無症状や軽症の放射線肺炎は経過観察とする。自然軽快することが多い。1週後の再診で症状が進行しているようであれば、追加の治療を考慮する。

正答率:82%

テーマ:放射線肺炎への対応

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