112A60

68歳の男性。白血球数増加の精査を目的に来院した。4年前から風邪をひきやすくなった。右頸部に径1.5cmのリンパ節1個と左肘部に径2cmのリンパ節1個とを触知する。脾を左肋骨弓下に4cm触知する。血液所見:赤血球302万、Hb 9.2 g/dL、Ht 30%、白血球30,500(桿状核好中球3%、分葉核好中球3%、単球6%、リンパ球88%)、血小板19万。血液生化学所見:IgG 320mg/dL(基準960〜1,960)、IgA 34mg/dL(基準110〜410)、IgM 46mg/dL(基準65〜350)。末梢白血球表面抗原はCD5、CD20及びCD23が陽性である。血清蛋白電気泳動でM蛋白を認めない。末梢血塗抹May-Giemsa染色標本を別に示す。

最も考えられるのはどれか。

マクログロブリン血症
慢性リンパ性白血病
急性リンパ性白血病
成人T細胞白血病
慢性骨髄性白血病

解答: b

112A60の解説

高齢男性の白血球増加。易感染性(免疫グロブリン低下による免疫異常と思われる)もみられている。リンパ節触知があり、脾腫もあることからリンパ系の異常を考えよう。白血球分画でもリンパ球88%と著増がある。CD5, CD20, CD23といった細胞表面マーカーが陽性。画像にて異常リンパ球の増加がみられており、慢性リンパ性白血病〈CLL〉と診断される。
a M蛋白を認めるはずだ。
b 正しい。上記の通り。
c 4年前から、といった緩徐な進行はみない。また血小板減少をみる。
d 細胞表面マーカーはCD4やCD25(Tリンパ球系)が陽性となるはず。また、病理にてflower cellをみる。
e リンパ球系ではなく、骨髄球系の芽球が増加する。また、血小板増加をみる。

正答率:92%

テーマ:慢性リンパ性白血病〈CLL〉の診断

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