112A59

60歳の男性。動悸を主訴に来院した。以前から時々脈が欠けるのを自覚していたが、症状が強くないので様子をみていた。2日前に熱めの湯船につかったところ、いつもとは違う持続する動悸を自覚した。動悸は突然始まり、脈を確認すると規則的ではなくバラバラに乱れて速く打つ感じだったという。洗い場の座椅子で休んでいたところ、約2分で症状は改善した。めまいや冷汗、眼前暗黒感などの症状は伴わなかった。このような症状は初めてで、その後繰り返すことはなかったが、家族が心配したため受診した。既往歴に特記すべきことはない。体温36.6℃。脈拍68/分、整。血圧142/88mmHg。呼吸数16/分。SpO2 98 % (room air)。心音と呼吸音とに異常を認めない。

入浴時に生じた動悸の原因として最も可能性が高いのはどれか。

心室頻拍
心室細動
上室性期外収縮
発作性心房細動
発作性上室性頻拍

解答: d

112A59の解説

動悸を主訴に来院した60歳男性。受診時異常所見はない。失神などの症状はなく、動悸は突然始まり不規則に速いということから発作性心房細動〈PAF〉を考える。
a 心室頻拍であれば血圧低下などバイタルの乱れが出たり、強い症状を呈する場合が多い。しかし、脈が不整になることはない。
b 心室細動であれば有効な心拍出が得られないので失神する。
c 上室性期外収縮は脈の乱れは認めるが頻脈とはならない。ただ、脈が速く打つ感じというのはあくまでも患者の感覚であり、実際心電図を見てみると頻脈ではない可能性もあるので、完全には否定できない。
d 正しい。主訴からは最も考えられる。ただし、上記にも記述した通り必ずしも患者の主訴が正しいとは限らないので、Holter心電図や心エコーで精査していく。
e 発作性上室性頻拍〈PSVT〉であれば、脈は規則的である。

正答率:83%

テーマ:発作性心房細動〈PAF〉の診断

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