112A61

83歳の男性。高血圧症のために定期的に受診している。10年前に高血圧症と診断され、カルシウム拮抗薬とアンジオテンシン変換酵素〈ACE〉阻害薬とを内服している。介護保険では要支援2の判定を受けており、週2回デイサービスに通っている。服薬アドヒアランスは良好であり、めまい、ふらつきなどの症状はない。身長162cm、体重53kg。脈拍72/分、整。診察室で測定した血圧144/74mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。下肢に浮腫を認めない。患者が記録した最近2週間の家庭血圧を別に示す。

この患者に対する対応で適切なのはどれか。2つ選べ

利尿薬の追加
β遮断薬の追加
現在の投薬内容を継続
カルシウム拮抗薬の減量
アンジオテンシン変換酵素〈ACE〉阻害薬の増量

解答: b,e

112A61の解説

高齢男性の高血圧。服薬アドヒアランスは良好で、特に自覚症状はなさそうだ。ところが、診察室血圧は収縮期が144mmHg、最近2週間の家庭血圧をみても、収縮期145mmHg(診察室血圧換算では150mmHg)があり、降圧不十分と考えられる。
※出題当時の正解(厚労省発表)は「現在の投薬内容を継続」であったが、その後の学会ガイドライン改定により、現在では降圧薬の追加が正しい判断と考えられる。
a △。サイアザイド系利尿薬など、一部の利尿薬は降圧薬として用いられる。ゆえに正解となる余地はある。が、利尿薬は一般に尿を増やし、身体から水分を除去しようという趣旨で用いられるものである。そのため、特に一般に「利尿薬の追加」としか書かれていない本選択肢は他と比べ選びにくい印象。ここでは正解として扱わないこととするが、上述のようにガイドライン改定による抵触がある問題であるため、今後の出題時には慎重に対処してほしい。
b 正しい。上述のように降圧目標に達していないため、降圧薬を追加/増量する可能性はある。
c 降圧不十分であり、現在の投薬内容継続では対応できない。
d 降圧目標に達していないため、降圧薬を減量することは考えにくい。
e 正しい。上述のように降圧目標に達していないため、降圧薬を追加/増量する可能性はある。

正答率:90%

テーマ:高血圧症患者の家庭血圧記録表から考える対応

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