111D21

47歳の男性。意識障害のため救急車で搬入された。以前から1か月に2回程度の5分ほど続く動悸を自覚しており、2年前の健康診断でWPW症候群を指摘されていたが、医療機関は受診していなかった。本日20時ごろに突然意識を失って倒れたため、家族が救急車を要請した。脈は微弱(頻脈)。意識レベルはJCS II-30。心拍数172/分。血圧64/48mmHg。呼吸数28/分。SpO2 92%(リザーバー付マスク10L/分酸素投与下)。顔色は不良である。2年前の心電図(A)と今回の心電図(B)とを別に示す。

次に行うべき処置はどれか。

α遮断薬投与
β遮断薬投与
ジギタリス投与
カテコラミン投与
カルディオバージョン

解答: e

111D21の解説

意識障害のため搬送された47歳男性。2年前にWPW症候群を指摘されていた。来院時は意識レベルの低下と血圧の低下とを認め緊急対応を要すると判断したい。Aではδ波がみられWPW症候群に矛盾しない。Bでは幅広いQRS波が不規則にみられ、心拍数が150/分程度と頻拍を呈している。WPW症候群に心房細動を合併した偽性心室頻拍の診断。
a α遮断薬は降圧薬であり、本症例は血圧はむしろ低く使用できない。
b・c 房室結節不応期を延長させ副伝導路への伝導を促進してしまうので使用してはいけない(禁忌)。同様の理由でベラパミル(カルシウム拮抗薬)も使用してはいけないので合わせて確認を。
d ドパミンやアドレナリンを指すと思われる選択肢。現在みられているのは不整脈による血圧低下であるため、これらの昇圧薬は無効。
e 正しい。血行動態が破綻しており、直ちに電気ショックをする必要がある。

正答率:85%

テーマ:WPW症候群でみられた偽性心室頻拍〈VT〉の治療

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