111D22

79歳の女性。人間ドックの腹部超音波検査で脂肪肝と肝の占拠性病変とを指摘されたため来院した。飲酒歴はない。意識は清明。身長152cm、体重65kg。体温36.2℃。脈拍64/分、整。血圧120/60mmHg。眼球結膜に黄染を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。血液所見:赤血球479万、Hb 14.1g/dL、Ht 42%、白血球5,400、血小板12万、PT-INR 1.2(基準0.9〜1.1)。血液生化学所見:総蛋白7.5g/dL、アルブミン4.3g/dL、総ビリルビン0.6mg/dL、直接ビリルビン0.2mg/dL、AST 61U/L、ALT 69U/L、LD 171U/L(基準176〜353)、ALP 271U/L(基準115〜359)、γ-GTP 121U/L(基準8〜50)、尿素窒素12mg/dL、クレアチニン0.6mg/dL、総コレステロール261mg/dL、トリグリセリド190mg/dL、HDLコレステロール37mg/dL、Na 138mEq/L、K 4.4mEq/L、Cl 97mEq/L。CRP 0.1mg/dL。胸部エックス線写真で異常を認めない。EOB造影MRI(A〜C)を別に示す。

考えられるのはどれか。

肝嚢胞
肝膿瘍
肝血管腫
肝細胞癌
肝脂肪腫

解答: d

111D22の解説

高齢女性の肝占拠性病変。EOB造影MRIという見慣れない画像条件が示されているが、読み方は通常の造影CTなどと変わらない。単純(造影前)でみられる占拠性病変が、動脈相で早期に染まり、肝細胞相ではwash outされている。いわゆる「早染まり早抜け」パターンであり、肝細胞癌の診断となる。
a 肝嚢胞は造影効果がない。
b 肝膿瘍であれば発熱やCRP上昇といった炎症所見がみられる。
c 肝血管腫は周囲からジワジワ染まるパターンを呈する。
d 正しい。上記の通り。
e 肝脂肪腫であれば単純(造影前)で腸間膜に存在する脂肪と同程度の信号がみられる。

正答率:83%

テーマ:肝細胞癌〈HCC〉の診断

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