111A26

41歳の初産婦。妊娠39週2日に全身けいれんのため救急車で搬入された。来院時にはけいれんは消失していた。意識レベルはJCS I-1。心拍数90/分、整。血圧190/120mmHg。呼吸数16/分。SpO2 97%(room air)。全身に浮腫を認める。尿所見:蛋白3+。硫酸マグネシウムの持続静注を開始した後に撮影された頭部MRIのFLAIR像(A〜C)を別に示す。

適切な治療はどれか。

へパリン静注
フロセミド静注
マニトール点滴静注
塩酸リトドリン点滴静注
ニカルジピン(カルシウム拮抗薬)静注

解答: e

111A26の解説

妊娠39週の全身けいれん。血圧は高値であり、妊娠高血圧症候群〈HDP〉に合併した子癇を考える。画像では頭頂葉(A;一見後頭葉に見えるがこのスライスで後頭葉は写っていないので注意)、後頭葉(B)、大脳基底核(C)に高信号域を認めており、HDPなどでみられる可逆性白質脳症〈RPLS〉の所見である(後頭葉に多いためP(Posterior)という用語が含まれているが、実際は後頭葉以外に病変がみられてもよい)。子癇の第一選択薬である硫酸マグネシウムはすでに投与されており、次なる一手を考える。
a 抗凝固薬である。
b ループ利尿薬である。
c 浸透圧利尿薬である。
d 子宮収縮抑制薬である。
e 正しい。妊婦にも使用可能な降圧薬である。血圧高値がみられるため、これに対応する。

正答率:44%

テーマ:子癇の治療薬

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