111A25

40歳の女性。下肢の浮腫を主訴に来院した。半年前に職場の健康診断で蛋白尿を指摘されたが、そのままにしていた。1か月前から両側下腿の浮腫が出現し、次第に増悪するため受診した。身長160cm、体重58kg。脈拍64/分、整。血圧132/90mmHg。尿所見:蛋白3+、糖(−)、潜血3+、沈渣に赤血球10〜20/1視野、白血球0〜2/1視野、赤血球円柱と顆粒円柱とを認める。尿蛋白4.0g/日。血液所見:赤血球460万、Hb 13.1g/dL、Ht 42%、白血球3,800(桿状核好中球40%、分葉核好中球26%、好酸球2%、好塩基球0%、単球7%、リンパ球25%)、血小板19万。血液生化学所見:総蛋白4.3g/dL、アルブミン1.9g/dL、IgG 2,400mg/dL(基準960〜1,960)、IgA 486mg/dL(基準110〜410)、IgM 188mg/dL(基準65〜350)、尿素窒素31mg/dL、クレアチニン0.9mg/dL、尿酸7.0mg/dL、血糖116mg/dL、HbA1c 6.3%(基準4.6〜6.2)、トリグリセリド143mg/dL、LDLコレステロール213mg/dL。免疫血清学所見:CRP 0.1mg/dL、抗核抗体640倍(基準20以下)。腎生検のPAS染色標本(A)と蛍光抗体C1q染色標本(B)とを別に示す。Congo-Red染色は陰性である。

考えられるのはどれか。

アミロイド腎症
Alport症候群
糖尿病腎症
微小変化群
ループス腎炎

解答: e

111A25の解説

尿蛋白3+、血中アルブミン<3g/dLであり、ネフローゼ症候群と診断される。汎血球減少とはなっていないも、IgG高値、抗核抗体高値、補体染色陽性などよりループス腎炎が考えやすい。画像ではAにてwire loopを、Bにて補体C1qの糸球体沈着をみる。
a Congo-Red染色が陰性であることより否定的。
b 小児期から血尿や難聴をみる。男児で重症となりやすい。
c 血糖値とHbA1cの記載より糖尿病は否定される。
d 微小変化群では糸球体に変化を認めない。
e 正しい。上記の通り。

正答率:95%

テーマ:ループス腎炎の診断

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