111A22

80歳の女性。右利き。突然、会話ができなくなったため、家族に連れられて来院した。本日午前8時、朝食中に突然話している言葉が異常になり、内容を家族が理解できなくなった。問いかけには返答せず、しきりに何かを訴えていたという。手足の動きはいつもと変わりなく、歩くことも可能であったが、言葉が改善しないため受診した。意識は清明。身長150cm、体重41kg。体温36.7℃。脈拍104/分、不整。血圧164/88mmHg。何かを話しかけてくるが、造語のため理解できない。開口や上肢挙上などの簡単な指示に従わない。顔面は左右対称で舌に麻痺はなく、発語時に表情筋の左右差はない。四肢に麻痺はなく、勝手に起き上がろうとする。腱反射は正常、Babinski徴候は陰性である。感覚系と小脳系とに異常を認めない。胸部エックス線写真で心胸郭比58%。心電図で心房細動を認める。頭部MRIの拡散強調像を別に示す。

この患者で他に予想される所見はどれか。

健忘症
着衣失行
左右失認
運動性失語
同名性半盲

解答: c

111A22の解説

画像より頭頂葉の梗塞と分かる。脈拍が不整であり、末尾に心房細動の記載もある。心原性脳塞栓の診断。
a 記憶を司るのは海馬(側頭葉内側に位置する)である。ここが障害されることで健忘症がみられる。
b 着衣失行は劣位半球で生じる。画像より優位半球(左)が障害されていることから否定的。
c 正しい。優位半球頭頂葉の角回から縁上回の障害ではGerstmann症候群(手指失認、左右失認、失算、失書)がみられる。
d 前頭葉の障害でみられる。
e 後頭葉の障害でみられる。

正答率:37%

テーマ:心原性脳塞栓(左側頭葉)で予想される所見

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