110A60

40歳の男性。自力で動けなくなったとのことで救急車で搬入された。37歳から「ホルモンか何かの病気」のため自宅近くの医療機関で治療を受けているとのことであるが、通院も内服も不規則だったため病名も含めて詳細は分からないという。以前から時に動けなくなることがあったが、数時間で軽快するためそのままにしていた。本日は起床時に体が動かず起き上がれなくなり、その後もなかなか改善しないため家族が救急車を要請した。身長167cm、体重64kg。脈拍96/分、整。血圧122/70mmHg。呼吸数16/分。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。甲状腺は軽度に腫大している。胸腹部に異常を認めない。四肢に弛緩性で左右対称性の麻痺があり、徒手筋力テストで2程度である。臥位の状態から自力では動けない。感覚障害を認めない。血液生化学所見:Na 140mEq/L、K 1.8mEq/L、Cl 103mEq/L。動脈血ガス分析(room air):pH 7.42、PaCO2 38Torr、PaO2 87Torr、HCO3- 24mEq/L。カリウム含有の補液治療を受け、動けるようになった。
検索すべき検体検査と予想される異常パターンはどれか。
レニン活性↑、アルドステロン↑
レニン活性↓、アルドステロン↑
レニン活性↓、アルドステロン↓
ACTH↑、コルチゾール↑
ACTH↑、コルチゾール↓
ACTH↓、コルチゾール↑
FT4↑、TSH↓、TRAb陽性
FT4↑、TSH↑、TRAb陰性

解答: g

110A60の解説

カリウムが1.8mEq/Lと低値であり、自力で動けないのは周期性四肢麻痺が原因と考えられる。甲状腺が軽度に腫大しており、「ホルモンか何かの病気」というのはBasedow病が考えやすい。
a 続発性アルドステロン症のパターン。
b 原発性アルドステロン症のパターン。
c 偽性アルドステロン症のパターン。
d Cushing病のパターン。
e 副腎不全のパターン。
f 副腎腺腫や副腎癌に起因するCushing症候群のパターン。
g 正しい。Basedow病のパターンである。
h 下垂体性甲状腺機能亢進症のパターン。

正答率:66%

テーマ:甲状腺機能亢進症による周期性四肢麻痺の検査所見

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