109I50

56歳の男性。胸部圧迫感を主訴に来院した。6か月前に肺内転移を伴う肺腺癌と診断され抗癌化学療法を行った。その後、経過観察していたが、2日前から胸部不快感があり次第に胸部圧迫感を伴うようになったため受診した。身長172cm、体重63kg。体温37.3℃。脈拍116/分、整。血圧88/58mmHg。呼吸数24/分。SpO2 94%(room air)。I音とII音とが減弱している。呼吸音に異常を認めない。血液所見:赤血球398万、Hb 10.9g/dL、Ht 33%、白血球4,300、血小板14万。血液生化学所見:総蛋白6.5g/dL、アルブミン3.2g/dL、AST 58U/L、ALT 63U/L、尿素窒素12mg/dL、クレアチニン0.9mg/dL、Na 131mEq/L、K 4.4mEq/L、Cl 97mEq/L、CEA 24ng/mL(基準5以下)。CRP 2.3mg/dL。胸部エックス線写真(A)と胸部造影CT(B)とを別に示す。
治療として適切なのはどれか。
抗凝固薬投与
心嚢ドレナージ
気管支拡張薬投与
気管支動脈塞栓術
副腎皮質ステロイド投与

解答: b

109I50の解説

6か月前に肺内転移を伴う肺腺癌と診断されている。56歳の男性。画像Aでは右胸水貯留と左第4弓突出がみられる。画像Bでは心臓周囲に低吸収域がみられ、心嚢水の存在が示唆される。右胸水も指摘可能。癌性心膜炎による心タンポナーデであり、108I41107F26104D28など類例は事欠かない。従来は奇脈など、心タンポナーデの症候を問うものであったが、本問は治療を問うており、難しくない。
a 血栓症を考えた場合に行う。
b 正しい。心嚢ドレナージが有効となる。
c 気管の閉塞を考えた場合に行う。
d 肺からの出血がある場合に行う。
e 間質性肺炎や慢性閉塞性肺疾患〈COPD〉の急性増悪を考えた場合に行う。

正答率:97%

テーマ:肺癌心膜転移による心タンポナーデの治療

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