そもそも中咽頭癌に対する放射線照射で放射線肺炎を発症するかは疑問ですが。。。
一般的に「放射線による肺障害」は早期障害を指すというよりは、亜急性期の病態(臨床的な「放射線肺炎」) and/or 晩期の肺線維症を指すと思われます。
https://www.uptodate.com/contents/radiation-induced-lung-injury?csi=5a9a765f-5a7c-4915-9059-015337a35ed9&source=contentShare
臨床的に「放射線肺炎」とよばれるものは、照射後3~12週で生じ、教科書的には亜急性期に生じるとされています。
国試的に「放射線肺炎」という単語は、111E41や108E51などで出題されていますが、いずれも「照射して数週後から発熱、倦怠感や呼吸器系の症状が出現し、照射領域に沿ってGGOがみられる」パターンをとっており、亜急性期にみられる肺障害を指しています。
一方で、放射線照射をしてから数ヶ月に発症している112F47のような症例では、おそらく急性期の病態というよりは晩期の肺線維症に見られるphaseに近いと考えられます。こちらのほうはどちらかといえば線維化が主体で、activeな炎症が病態の主体ではないです。
早期と晩期で観られる病態が異なることを対比してみると、理解が深まるのではないでしょうか。
@なんのかけ
ありがとうございます。基本的には同じ話になってしまうのですが、同様な質問が今後やってきそうなので、簡単にまとめておきます。
http://www.haigan.gr.jp/journal/full/059040333.pdf
↑
こちらの334ページ「発症機序」と「症状・診断・臨床経過」にあるように、
early, intermediate, lateという3つのフェーズがあり、型によりまちまち。
照射直後や5〜6か月で出てくることもあるが、多くは照射終了後1〜3か月程度で発症する。
とおぼえておけばOKです。つまりは早期障害でも晩期障害でもあると言えるのですね。
『あたらしい放射線科』のテキストではそのため早期に「肺炎」、晩期に「肺線維症」と分けています。
また、113C14では「出現する」と聞かれていますから、講義内では「早期から出てきうるが.....」といった解説になっています。web上の解説が「晩期障害である」と言い切りになっており、分かりにくかったと思いますので、ここはリライトしておきました。
2021年度に『あたらしい放射線科』の全面改訂が行われるため、ここはもう少し分かりやすく改修することとします。
今回の投稿をきっかけに今一度いろいろ考えを深めることができました。感謝します!
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中咽頭癌に対する放射線治療の有害事象で、最も早期に出現するのはどれか。