108E51

65歳の男性。咳と労作時の息切れとを主訴に来院した。1年前に咳嗽と喀痰とを訴え来院し、右下葉の原発性肺癌と診断された。手術適応がなかったため、抗悪性腫瘍薬による化学療法を施行後、根治を目的に放射線治療を行った。照射終了後6週目に、咳嗽と労作時の息切れとを自覚し受診した。喫煙は20本/日を45年間。意識は清明。身長165cm、体重72kg。体温36.5℃。呼吸数16/分。SpO2 84%(room air)。右胸部にfine cracklesを聴取する。血液所見:赤血球456万、Hb 13.3g/dL、Ht 40%、白血球10,800(桿状核好中球9%、分葉核好中球67%、好酸球1%、好塩基球1%、単球10%、リンパ球12%)、血小板35万。CRP 9.2mg/dL。胸部エックス線写真(A)と肺野条件の胸部単純CT(B)とを別に示す。
この病態について正しいのはどれか。
発症率は照射総線量に依存しない。
呼吸機能検査では閉塞性障害を呈する。
放射線照射開始直後に発症することが多い。
抗悪性腫瘍薬の併用は、この病態を増強しない。
特発性肺線維症の存在は、発症のリスクファクターである。

解答: e

108E51の解説

照射終了後6週目から症状が出現しており、放射線照射の合併症が考えやすい。画像Aでは右中下肺野の浸潤影を、画像Bでは右肺野に明瞭な境界(おそらくは放射線照射域に該当する)を持つ、すりガラス陰影がみられている。放射線肺炎の診断。
a 照射総線量が多いほど、発症率は高くなる。
b 間質性肺炎の一種であり、拘束性障害を呈する。
c 病歴にもあるように、放射線照射終了後数か月してから発症することが多い。
d 抗悪性腫瘍薬を併用すると発症率が高まる。
e 正しい。もともと特発性肺線維症が存在した場合、放射線肺炎をきたすリスクが上昇する。

正答率:89%

テーマ:放射線障害による間質性肺炎について

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