解決済 112D43 21.救急

肝硬変における輸液Na濃度の調整

肝硬変における輸液のNa濃度を低いものに設定する理由として経口摂取ができないため細胞内液に水を供給することが挙げられています。
これって別に肝硬変で腹水があるからNa濃度の低い輸液を選択するわけではなく、経口摂取ができない患者さんには原則として細胞内に水を送り込むためにはNa濃度を下げるという理解でよいのでしょうか。あるいは肝硬変以外の疾患に罹患していてかつ経口摂取が不可能な患者さんに対しては他の輸液組成が考えられるのであれば、教えて頂きたいです。

回答5件

  • 一概にはまとめられないと思います。
    その患者さんの背景や状況(特にバイタル)によって、適切な輸液製剤は変わってくると思います。

    血管内に水をためるためにはアルブミンが必要です。アルブミンがナトリウムをひっぱって同時に水も血管内にひっぱることができます(ドナン効果というそうです。)
    アルブミンが血管内に少ない状態で血管内にナトリウムを入れても血管外へナトリウムが漏れ、結果的にサードスペースへ水が逃げてしまいます。
    腹水が貯留するのはこのためです。

    今回の設問の場合、肝硬変にてアルブミンが不足している状態で経口摂取ができないため脱水(細胞内脱水)を防ぎたい、しかしナトリウムが高い輸液製剤をいれると腹水が悪化してしまう。従って細胞内に水を行きわたらせるために一番ナトリウム濃度が低い輸液製剤を選んでいるものと考えられます。
    同じ腹水が貯留している場合でも、血圧がショック状態であれば血液循環性ショックを疑い生理食塩水をいれることもあるそうです。

    ただ単に経口摂取ができていない場合であれば2号液や3号液を用いることもあると思いますし、脱水がひどく血圧が低下している場合であれば乳酸リンゲルなどを用いることもあるので、設問ごとに考えるしかないのかなと思っています。

    きちんとした答えになっていなくてごめんなさい・・・
    何かヒントになることがあれば幸いです。

    • 肝硬変では細胞内脱水が起こりやすいという理由がよくわからないので教えて頂きたいです。
      血中のアルブミンが少ないと、ドナン効果が不十分で、間質のナトリウム濃度が上がってしまい(つまり間質の浸透圧が上がってしまい)、細胞内から間質へ浸透圧差でシフトする水分が多くなり、細胞内脱水が起こり得る、という理解でいいのでしょうか?

  • なるほど。よくわかりました、ありがとうございます!その上で一つ疑問なのですが、肝硬変の患者さんの場合、もし何らかの理由で血圧が低下していてかつ経口摂取不良の場合はどんな輸液をするのが適切なのでしょう?この場合低Na溶液だと細胞内に逃げてしまうのが逆に仇となるが、高Naにすると腹水を助長することになると思いました。なかなか限局的なシチュエーションなのであまり考えない方がよいのかもしれませんが。。

    • 循環血液量減少性ショックが疑われる場合はショック状態を改善させることが第一であるため生理食塩水投与でいいと思います。

      少し自信がないので、もし他に何かご意見ある方がいらっしゃいましたらご教授頂けると幸いです。

  • 栄養と循環血漿量の観点から見れば、腹水を伴う肝硬変ではアルブミン製剤、またはBCAA製剤による輸液をすることが良いとされています
    しかし、高価であり手軽には使いにくく、食道静脈瘤破裂など急性の循環血漿量減少性ショックではNaを考えず、まず生理食塩水や乳酸リンゲルといった細胞外液の輸液が適応になります
    緩徐に起こったものなのか、急激に発症したのかで投与するものが変わり、肝硬変だからこれっといった輸液製剤はガイドラインなどでは記載されていないません
    なのでケースバイケースで考えるべきですが、基本的に肝硬変はNa制限をかけて腹水の増悪を防ぐ、と思っておくことが大切だと思います

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  • 問題参照 112D43

    47歳の女性。腹部膨満を主訴に来院した。20歳台からアルコールの多飲歴があり、1週間前までワイン1本/日を飲んでいた。3日前から腹部膨満が出現し食事が摂れなくなったため受診した。意識は清明。身長156cm、体重49kg。体温36.3℃。脈拍72/分、整。血圧106/60mmHg。眼險結膜に貧血を認めない。眼球結膜に軽度黄染を認める。頸部から胸部にかけて赤い放射状の皮疹を多数認め、圧迫によって消退する。腹部は膨満しているが圧痛を認めない。下肢に浮腫を認める。血液所見:赤血球325万、Hb 9.4g/dL、Ht 31%、白血球4,000、血小板7.0万、PT-INR 1.4(基準0.9〜1.1)。血液生化学所見:総蛋白5.9g/dL、アルブミン2.5g/dL、総ビリルビン3.2mg/dL、直接ビリルビン0.9mg/dL、AST 56U/L、ALT 40U/L、ALP 280U/L(基準115〜359)、γ-GTP 24U/L(基準8〜50)、アンモニア185μg/dL(基準18〜48)、尿素窒素35mg/dL、クレアチニン0.7mg/dL、Na 131mEq/L、K 3.6mEq/L、Cl 97mEq/L、α-フェトプロテイン〈AFP〉3.1ng/mL(基準20以下)。免疫血清学所見:CRP 1.2mg/dL、HBs抗原陰性、HCV抗体陰性。来院時の腹部CTを別に示す。経口摂取ができないため輸液を開始した。

    初期輸液のNa+濃度(mEq/L)として適切なのはどれか。

    • a 35
    • b 77
    • c 90
    • d 130
    • e 154
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