104A27、心電図③についてです。
この心電図は胸部誘導のキャリブレーションが通常の1/4になっていることに注意が必要です。
2019年版の講義では(練習問題では一部抜粋なので仕方ないのかもしれませんが)SSS-1と説明がありましたが、肢誘導を見ると洞性P波を確認でき、SSSは否定されます。
胸部誘導に目を移すと、R波の高さは一見正常ですが、1/4になっていることに気を付けるとRV5は2.6mVを超えており、左室高電位を指摘できます。
また、V4、5周辺の一見目立たない陰性Tは4倍して考えると巨大陰性T波となります。
以上より、心電図③は心尖部肥大型心筋症(ACM)の心電図だと考えられます。
肥大型心筋症は致死的不整脈とそれによる突然死のリスクとなり、また家族歴があることも多いので現病歴に合致しますが、今回の問題は発作時の心電図を選べですので、解答にはならないということだと思います。
2年以上前の投稿に対して今更ですが、キャリブレーションの話など鋭い指摘があり勉強になりました。
が、SSS1型(洞性徐脈)ではP波含め波の脱落はなく、純粋に心拍数のみが低下します。
「洞性P波を確認でき、SSSは否定されます。」は正しくありません。
ほとんどの肥大型心筋症で認められるストレインパターンのST低下がない点が気になったのですが、
心尖部肥大型心筋症においては巨大陰性T波がかなり特徴的で、ST低下はなくても良さそうですね。
まとめると、(SSSの切り方に文句はつけたものの)総合的に考えると心尖部肥大型心筋症で意見一致です。
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