115E37

23歳の男性。咳嗽および血痰を主訴に来院した。3日前から乾性咳嗽が出現し、激しくせき込むようになった。今朝、咳嗽時に少量の血痰が1回出現したため心配になって受診した。悪心や嘔吐はなく、食欲良好で体重減少や盗汗はない。結核曝露歴や最近1か月の海外渡航歴はない。既往歴に特記すべきことはなく、喫煙歴と飲酒歴はない。意識は清明。診察中には咳嗽が時々出るが血痰は出ていない。身長160cm、体重72kg。体温36.1℃。脈拍72/分、整。血圧122/58mmHg。呼吸数12/分。口腔内と咽頭に異常はなく、頸部リンパ節腫脹を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。

この時点で最も事前確率の高い疾患はどれか。

肺癌
気管支喘息
急性気管支炎
Goodpasture症候群
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症〈Churg-Strauss症候群〉

解答: c

115E37の解説

【プロセス】
①若年男性
②乾性咳嗽と血痰
③血痰は少量かつ1回だけ
本文の記載から考えうる疾患を絞り込む良問。血痰(②)と聞くと、我々はすぐに肺癌や肺結核を想起してしまうが、果たして①や③からその可能性はどれだけあるのか。設問文が「診断はどれか」ではなく「事前確率の高い疾患はどれか」となっているところからも、このような議論を出題者はしたかったものと思われる。

【選択肢考察】
a ①や③から事前確率は低い。
b 既往歴に特記すべきことはなく、呼吸音に異常を認めないことから事前確率は低い。
c 正しい。ウイルス感染としてありふれており、十分に考えうる。
d ③に加え、血尿の記載がないこと、またGoodpasture症候群はそもそも有病率が低いことから、事前確率は低い。
e 中高年に好発する疾患。また、気管支喘息の合併や、発熱・体重減少・多発単神経炎といった各種症候をみる。以上より、事前確率は低い。

正答率:72%

テーマ:咳嗽と血痰から最も事前確率の高い疾患

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