115E36

78歳の女性。左前胸部痛を主訴に来院した。今朝6時ころ歯磨き中、突然、左前胸部痛が出現した。症状は今回が初めてで、左前胸部全体が締め付けられるような痛みであった。その感覚は咽頭部から左肩に放散し、冷汗を伴っていた。横になって休んでいたところ、症状は約20分で消失した。心配した家族とともに午前10時30分に受診した。体温36.5℃。脈拍76/分、整。血圧100/78mmHg。呼吸数18/分。SpO2 98%(room air)。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部の診察で異常を認めない。直ちに施行した心電図を別に示す。心エコー検査で前壁から心尖部にわずかに壁運動低下を認めた。

この時点で、まず確認すべきなのはどれか。

FDG-PET
運動負荷心電図
心筋シンチグラフィ
心筋トロポニンT
脳性ナトリウム利尿ペプチド〈BNP〉

解答: d

115E36の解説

【プロセス】
①高齢女性
②突然の左前胸部痛(全体が締め付けられるよう)
③咽頭部から左肩に放散
④冷汗
⑤心電図ではI, II, III, aVF, V1〜V6誘導の陰性T波(明らかなST変化はなし)
⑥心エコー検査で前壁から心尖部に壁運動低下
典型的な急性冠症候群〈ACS〉(非ST上昇型)の症例。

【選択肢考察】
a 悪性腫瘍の全身転移などの評価に用いられる。
b 労作性狭心症に対して行われる。ACSに対しては★禁忌★。
c 虚血となっている心筋の範囲を描出することが可能だが、実施に時間がかかることもあり、この段階で「まず確認すべき」とは言えない。
d 正しい。ACSを疑ったら、まず確認すべき心筋バイオマーカーである。
e 心不全で高値となるマーカーである。ACSの診断には直接的に関係しない。

正答率:98%

テーマ:急性冠症候群〈ACS〉を疑う患者でまず確認すべきもの

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