115D29

4か月の男児。健康診査で体重増加不良と定頸の遅れを指摘され両親とともに来院した。母親は35歳で2妊2産で本児出産の5年前に胃癌のため胃全摘術を受け貧血治療薬を服用していた。3年前の第1子妊娠を契機に服薬は自己中断した。今回の妊娠では妊娠前から妊娠2か月まで、脊髄髄膜瘤予防のため栄養補助食品を摂取した。児は在胎39週6日、2,580gで出生した。完全母乳栄養で育てられていた。身長62.0cm(-0.9SD)、体重5,365g(-2.0SD)。心拍数100/分、整。呼吸数20/分。眼瞼結膜は貧血様である。眼球結膜に異常は認めない。皮膚は蒼白だった。Moro反射は認めない。筋緊張は正常。血液所見:赤血球230万、Hb 8.2g/dL、Ht 23%、白血球8,000、血小板32万。

治療として正しいのはどれか。

鉄剤投与
葉酸投与
ビタミンB12投与
赤血球濃厚液輸血
エリスロポエチン製剤投与

解答: c

115D29の解説

【プロセス】
①乳児の体重増加不良と定頸の遅れ
②母親に5年前の胃切除歴(貧血治療薬中断)
③今回妊娠前には葉酸と思しき栄養補助食品を摂取
④完全母乳栄養
⑤眼瞼結膜は貧血様・皮膚は蒼白
⑥赤血球230万・Ht 23%(MCV 100fL)
⑤より貧血を疑う。貧血により①がみられていると考えれば辻褄が合う。②④からは鉄欠乏またはビタミンB12欠乏が考えやすいが、⑥のMCV値からは正〜大球性貧血と考えられ、鉄欠乏性貧血(小球性となるはず)は否定的。以上より、ビタミンB12欠乏による巨赤芽球性貧血が最も疑われる。

【選択肢考察】
a 鉄欠乏性貧血の治療である。
b ③より葉酸欠乏による巨赤芽球性貧血は考えにくい。
c 正しい。ビタミンB12欠乏による巨赤芽球性貧血への治療である。
d 対症療法にすぎず、他に根本的な治療がある場合には、そちらが優先される。
e 腎性貧血および一部の未熟児貧血の治療である。

正答率:55%

テーマ:幼児ビタミンB12欠乏性貧血の治療

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