115D30

32歳の女性。流産を繰り返すことを主訴に来院した。これまでに3回妊娠したが、いずれも胎児心拍確認後、妊娠12週、21週、17週で心拍が消失し流産した。3年前に左下肢血栓症で治療を受けた。子宮と卵巣とに異常を認めない。甲状腺ホルモンと下垂体ホルモンとに異常を認めない。月経周期は28日、基礎体温は2相性、高温相は14日間である。血液検査では、APTT 52.0秒(基準対照32.2)、抗リン脂質抗体陽性。夫婦の末梢血染色体は正常核型。

次回妊娠中に投与する薬として適切なのはどれか。

ヘパリン
ビタミンD
ビタミンK
エストロゲン
黄体ホルモン

解答: a

115D30の解説

【プロセス】
①流産を繰り返す
②下肢血栓症の既往
③APTT延長
④抗リン脂質抗体陽性
抗リン脂質抗体症候群〈APS〉の診断は容易い

【選択肢考察】
a 正しい。血栓形成予防のため、ヘパリンによる抗凝固療法を行う。
b ビタミン不足による流産ではないため不適切。
c ビタミン不足による流産ではないため不適切。
d エストロゲン不足による流産ではないため不適切。むしろ、エストロゲン投与により血栓傾向が増悪するため逆効果。
e 黄体機能不全による流産に対して有効。

正答率:93%

テーマ:抗リン脂質抗体症候群〈APS〉患者の次回妊娠中に投与する薬

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