115A58

78歳の女性。意識障害と左片麻痺のため救急車で搬入された。長男夫婦と同居、日常生活は自立していた。昨夜午後9時まで同居の家族とテレビを見ていた。その後、自室に戻り就寝したようだが、起床時間の午前6時になっても起きてこないことを心配した家族が布団のそばで倒れているところを発見し、家族が救急車を要請した。75歳時に心房細動を指摘され、経口抗凝固薬を服用中であった。意識レベルはJCS I-1。体温36.8℃。心拍数92/分、不整。血圧140/88mmHg。呼吸数16/分。会話は可能で口頭命令への理解は良好である。視野は正常で、半側空間無視は認めない。左上下肢に不全片麻痺を認める。感覚障害を認めない。血液生化学検査に異常を認めない。午前8時に撮像した頭部MRIの拡散強調像、FLAIR像、T2*強調像、MRA(A〜D)を別に示す。

正しいのはどれか。

出血性脳梗塞である。
速やかに降圧薬を投与する。
直ちに右頸動脈ステント留置を行う。
早期にリハビリテーションを開始する。
t-PA〈tissue plasminogen activator〉療法の適応である。

解答: d

115A58の解説

【プロセス】
①高齢女性
②意識障害と左片麻痺
③心房細動〈AF〉を指摘されており心拍が不整
④最後に目撃された未発症時刻は昨夜9時
⑤画像では右前頭葉に拡散強調像で高信号・FLAIR像で淡い高信号が指摘可能・T2*強調像では低信号がないため出血は否定的・MRAでは右中大脳動脈の末梢枝の描出が無い
心原性脳塞栓症である。

【選択肢考察】
a T2*像で低信号域がないため、出血は否定的。
b 血圧は140/88mmHgであり、速やかな降圧は必要ない。
c 右頸動脈の狭窄ではなく、右中大脳動脈の末梢枝に心原性の血栓が詰まったものと思われる。
d 正しい。非の打ち所がない選択肢であり、t-PA療法の適応など細かな知識が怪しい受験生でも正答できた。
e ④よりt-PA療法の適応時間4.5時間を超えてしまっていることが分かる。

正答率:92%

テーマ:心原性脳塞栓症への対応

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