115A59

47歳の男性。右下腿の痛みを主訴に来院した。5週前にバイク事故で右脛骨の開放骨折を起こし、受傷6時間後に洗浄、デブリドマン及び創外固定術を受けた。受傷後1週で創外固定を抜去し、プレートによる内固定術を受けた。内固定術後は右下肢免荷で歩行していた。昨日、右下腿内側に安静時痛と腫脹が出現したため受診した。体温38.8℃。脈拍80/分、整。血圧144/62mmHg。右下腿に発赤、熱感および腫脹があり、手術創が一部離開している。血液所見:赤血球422万、Hb 12.4g/dL、白血球19,200。血液生化学所見:総蛋白6.8g/dL、アルブミン3.6g/dL、総ビリルビン0.9mg/dL、直接ビリルビン0.2mg/dL、AST 24U/L、ALT 18U/L、LD 182U/L(基準120~245)、ALP 334U/L(基準115〜359)、尿素窒素17mg/dL、クレアチニン0.4mg/dL、血糖112mg/dL、HbA1c 5.3%(基準4.6~6.2)、Na 141mEq/L、K 3.8mEq/L、Cl 98mEq/L。CRP 21mg/dL。右下腿の写真(A)及び右下腿エックス線写真(B)を別に示す。

治療として適切なのはどれか。

下腿切断
ギプス固定
足関節固定術
デブリドマン
骨折部への人工骨移植

解答: d

115A59の解説

【プロセス】
①5週前にバイク事故で右脛骨の開放骨折
② ①に対し洗浄・デブリドマン・創外固定術を受けた
③受傷後1週でプレートによる内固定術を受けた
④昨日から右下腿内側に安静時痛と腫脹
⑤発熱あり・白血球数上昇・CRP高値
⑥画像Aでは右下腿の手術創を中心とした発赤・腫脹
⑦画像Bでは骨折線とプレート固定の様子が分かるが特にインプラント(スクリュー)が緩んで転移しているような様子は見てとれない
術後の感染であろう。

【選択肢考察】
a 最終手段であり、現時点からいきなり切断を試みる医師がいないことを祈る。★禁忌★
b 固定が不十分なわけではないため、必要ない。
c 足関節が固定されていないわけではなく、必要ない。
d 正しい。創部感染が考えられるため、デブリドマンにより感染壊死組織を除去するのが第一手である。
e 骨欠損がある例や、偽関節となった例で考慮される治療。

正答率:97%

テーマ:下腿術後感染症への治療

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