114F35

39歳の女性。子宮体癌の治療を希望して受診した。6か月前から不正出血があり、2週前に自宅近くの医療機関を受診し内膜組織診で子宮体癌〈子宮内膜癌〉と診断された。初経は12歳。以後月経不順で、多嚢胞性卵巣と診断された。35歳で結婚し挙児を希望したが、妊娠しなかった。5年前に受けた子宮頸がん検診では異常を指摘されていないという。家族歴に特記すべきことはない。身長155cm、体重86kg。腟鏡診で少量の出血を認める。子宮頸部には肉眼的異常を認めない。妊娠反応は陰性。経腟超音波検査で両側卵巣の多嚢胞性腫大を認める。子宮の経腟超音波像を別に示す。

この患者に行うべきでない検査はどれか。

腹部CT
血糖測定
腹部MRI
子宮卵管造影
子宮頸部細胞診

解答: d

114F35の解説

子宮体癌の診断はすでについている。多囊胞性卵巣症候群〈PCOS〉の診断もすでについており(PCOSは子宮体癌のリスクの1つ)、実際に経膣超音波検査で両側卵巣の多嚢胞性腫大を認めている。与えられた画像では中央部に子宮内膜の肥厚がみられており、子宮体癌に矛盾しない。
a 広がりを確認すべく、CT検査は重要。
b 耐糖能異常・糖尿病は子宮体癌のリスクの1つである。また血糖コントロールが不良な場合、手術をする際に注意が必要となることから、現時点で確認しておきたい。
c 筋層浸潤の有無を確認可能。治療方針決定に有用だ。
d 誤り。不妊症の検査であり、子宮体癌と関係ない。もっと言えば、造影剤を流すことで子宮体癌を卵管や腹腔まで散布させてしまう恐れがある。ゆえに行うべきではない。
e 最後に受けた子宮頸がん検診は5年前であり、再度子宮頸癌の有無を確認しておく。また、子宮体癌の頸部浸潤の有無も評価できる。

正答率:80%

テーマ:子宮体癌の検査

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