114D25

78歳の男性。腹痛を主訴に来院した。4時間前に腹痛が突然出現し、徐々に増強してきたため受診した。2年前から心房細動で内服加療中であった。体温37.1℃。脈拍120/分、不整。血圧86/56mmHg。呼吸数24/分。腹部は膨隆し全体に圧痛を認める。血液所見:赤血球510万、Hb 15.8g/dL、Ht 45%、白血球9,500、血小板13万。血液生化学所見:総蛋白6.8g/dL、アルブミン3.4g/dL、AST 16U/L、ALT 14U/L、LD 310U/L(基準120〜245)、CK 275U/L(基準30〜140)、尿素窒素31mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL、Na 134mEq/L、K 5.2mEq/L、Cl 108mEq/L。腹部造影CTを別に示す。

治療として適切なのはどれか。

緊急開腹手術
高圧酸素療法
内視鏡的整復術
上腸間膜動脈塞栓術
経肛門的イレウス管留置

解答: a

114D25の解説

高齢男性の突発性腹痛。心房細動で内服加療中であったとのことで、血栓性疾患を考えたい。ポイントは画像。頭側で造影剤で白く円形に描出されている上腸間膜動脈〈SMA〉が尾側では三日月状となっており、造影欠損がみられる。血栓性SMA閉塞の診断。
a 正しい。放置すると汎発性腹膜炎、播種性血管内凝固〈DIC〉、ショック、と致死的な経過をたどる。早急な開腹手術が望ましい。
b 突発性難聴やガス壊疽など一部の疾患に有効。SMA閉塞症には無効。
c SMAに血栓が詰まってしまったわけであり、内視鏡的に対応できる病態ではない。
d すでに血栓で閉塞してしまったSMAをさらに塞栓するというのは逆効果である。★禁忌★
e 下部消化管の腸閉塞への対処方法。

正答率:96%

テーマ:上腸間膜動脈閉塞症の治療

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