114D19

65歳の男性。言動に不安を感じた妻に伴われて来院した。高血圧症で内服加療中である。朝の散歩を日課としているが、半年前から必ず時刻通りに出かけることにこだわるようになった。また、帰省した息子や孫を突然怒鳴りつけるなど、怒りっぽくなった。食事は同じ内容にこだわるようになり、異なるメニューを供すると怒り出して食事の最中に席を離れてしまうことがあった。趣味のサークルの友人から妻に電話があり、最近、サークルの運営で自分の主張を押し通そうとして困っていると相談された。物忘れはなく、会話の不自由さはない。日常生活動作に支障はみられない。妻は言動変化の原因になるような心当たりはないという。診察室でも本人は受診が不満のようで、妻をなじっている。

この患者で予想される所見はどれか。

幻視
復唱障害
遂行機能障害
視空間認知能障害
エピソード記憶障害

解答: c

114D19の解説

高齢男性に時間表的生活(常同行動)や易怒性、衝動性、社交性の低下がみられている。前頭側頭型認知症〈FTD〉が考えやすい。
a Lewy小体型認知症〈DLB〉でみられる。
b 認知症でみられやすい。本患者では敢えて「物忘れはなく、会話の不自由さはない」と書いてあるため否定的。
c 正しい。主に前頭葉機能の低下によってみられる。
d 物体との距離感がつかみにくくなったり、道に迷ったりする。後頭葉を中心とした機能低下で出現する。FTDではなく、Alzheimer型認知症やLewy小体型認知症〈DLB〉でみられやすい。
e 認知症でみられやすい。本患者では敢えて「物忘れはなく」と書いてあるため否定的。

正答率:54%

テーマ:前頭側頭型認知症〈FTD〉で予想される所見

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