114A68

78歳の女性。皮疹と食欲低下を主訴に来院した。高血圧症、狭心症および脂質異常症で自宅近くの医療機関に通院し、カルシウム拮抗薬、抗血小板薬およびスタチンの処方を受けていた。20日前の定期通院時の血清クレアチニンは0.7mg/dL、eGFR 61mL分/1.73m2であった。5日前から左背部から側腹部にかけて痛みを伴う皮疹が出現し市販のNSAIDを服用していたが改善せず、食事も摂れなくなったため受診した。意識は清明。身長152cm、体重41kg。体温37.2℃。脈拍88/分、整。血圧142/80mmHg。左背部から側腹部にかけて紅斑と水疱を認め強い疼痛を伴っている。血液所見:赤血球341万、Hb 11.0g/dL、Ht 33%、白血球3,700、血小板17万。血液生化学所見:尿素窒素23mg/dL、クレアチニン1.4mg/dL、eGFR 28mL/分/1.73m2、総コレステロール210mg/dL、Na 143mEq/L、K 4.6mEq/L、Cl 106mEq/L。CRP 0.7mg/dL。帯状疱疹と診断され、強い痛みと食欲不振もあることから入院の上でアシクロビルによる帯状疱疹の治療を行うこととした。

この患者で減量して投与すべきなのはどれか。2つ選べ

NSAID
スタチン
抗血小板薬
アシクロビル
カルシウム拮抗薬

解答: a,d

114A68の解説

帯状疱疹の診断と治療方針はすでに書いてある。本患者ではeGFRが28とG4の段階にあるため、腎機能を悪化させる可能性のある薬剤は減量して投与したい。
a 正しい。NSAIDに腎機能障害の副作用があることは有名であり、95%程度の受験生が選択できた。
b 横紋筋融解症の副作用あるも、肝排泄経路が主であるため減量は不要。横紋筋融解症→ミオグロビン流出→腎に詰まる、という導き方で本選択肢を選んだ受験生が5割強いたが、それは矢印をつなげすぎ。
c 肝排泄経路が主であるため減量は不要。
d 正しい。アシクロビルは腎排泄であるため、減量が必要。
e 肝排泄経路が主であるため減量は不要。

正答率:19%

テーマ:腎障害のある患者で減量して投与すべき薬剤

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