114A67

43歳の女性。強い動悸と頸部痛を主訴に来院した。1週前から夜間の発熱と咳嗽が出現し、自宅近くの診療所を受診して総合感冒薬を処方された。その後、感冒症状は改善したが頸部痛、動悸および両手指の振戦が出現したため受診した。体温37.1℃。脈拍120/分、整。血圧118/60mmHg。甲状腺はびまん性に軽度腫大しており、触診では甲状腺右葉の腫脹部に圧痛を認める。検査所見:赤沈65mm/1時間。血液所見:白血球9,800。血液生化学所見:TSH検出感度未満(基準0.2〜4.0)、FT4 5.86ng/dL(基準0.8〜2.2)。免疫血清学所見:CRP 5.0mg/dL、抗TSH受容体抗体陰性。心電図では洞性頻脈を認める。甲状腺超音波検査では疼痛部に一致した低エコー所見を認める。

行うべき治療はどれか。2つ選べ

抗菌薬投与
β遮断薬投与
抗甲状腺薬投与
副腎皮質ステロイド投与
放射性ヨウ素によるアイソトープ治療

解答: b,d

114A67の解説

1週前の前駆感染を契機に動悸と頸部痛とがみられている中年女性。手指振戦、脈拍上昇、TSH低値、FT4高値といった記載から甲状腺機能亢進症を考えよう。甲状腺のびまん性腫大と右葉の腫脹部圧痛、疼痛部に一致した低エコー所見からは亜急性甲状腺炎が考えやすい。抗TSH受容体抗体は陰性であり、Basedow病は否定的。
a 細菌感染ではないため無効。
b 正しい。交感神経亢進症状がみられており、β遮断薬は有効。
c Basedow病に用いる。亜急性甲状腺炎に対して用いると、かえって甲状腺機能を低下させてしまう。★禁忌★
d 正しい。亜急性甲状腺炎には副腎皮質ステロイドやNSAIDが有効である。
e Basedow病に用いる。

正答率:78%

テーマ:亜急性甲状腺炎の治療

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