114A69

70歳の男性。発熱を主訴に来院した。2週前から38℃前後の発熱が出現し、解熱薬とセフェム系の抗菌薬を処方された。一時的に症状の改善がみられたが、投薬終了後に再び発熱したため、紹介され受診した。58歳時より高血圧症および脂質異常症に対して自宅近くの診療所から内服薬を処方されている。3年前に僧帽弁逆流症を指摘されたが手術適応はないと診断されていた。意識は清明。体温37.6℃。脈拍72/分、整。血圧124/80mmHg。呼吸数18/分。SpO2 94%(room air)。心音は心尖部にIII/VIの全収縮期雑音を聴取する。呼吸音に異常を認めない。尿所見:尿比重1.016、蛋白(−)、糖(−)、潜血(−)、沈渣に赤血球、白血球を認めない。血液所見:赤血球452万、Hb 12.4g/dL、Ht 36%、白血球12,400(桿状核好中球55%、分葉核好中球22%、好酸球2%、好塩基球1%、単球5%、リンパ球15%)、血小板35万。血液生化学所見:AST 38U/L、ALT 36U/L、尿素窒素20mg/dL、クレアチニン1.0mg/dL、尿酸7.1mg/dL、Na 137mEq/L、K 4.6mEq/L、Cl 100mEq/L。CRP 20mg/dL。

現時点における対応で正しいのはどれか。2つ選べ

血液培養
心筋生検
遺伝子検査
心エコー検査
ウイルス抗体価の確認

解答: a,d

114A69の解説

2週前から続く発熱を主訴に来院した70歳男性。高い炎症反応と、以前から僧帽弁逆流症の指摘があったことより、感染性心内膜炎〈IE〉を念頭に置く必要がある。
a 正しい。菌血症の証明はIEの診断に必須である。また、抗菌薬の感受性をみるのに有用である。
b IEは心筋疾患ではないので不要である。また、心筋生検は内頸静脈や大腿静脈からカテーテルをすすめ右室より生検される。感染が疑われる際には極力カテーテルの挿入は避けたほうが良い。
c IEは遺伝性疾患ではないため不要である。
d 正しい。疣贅や弁の状態を確認するため、経胸壁または経食道にて心エコー検査を行う。
e 好中球優位の白血球上昇とCRP高値からは、細菌性感染を疑う。

正答率:99%

テーマ:感染性心内膜炎〈IE〉の検査

フォーラムへ投稿

関連トピック

なし