114A56

日齢6の新生児。NICUに入院中である。常位胎盤早期剥離のため緊急帝王切開で出生した。在胎26週4日、出生体重750gであった。出生6分で気管挿管が行われ、10分後には開眼した。その後NICU入院となり、呼吸管理を受けている。入院後、経口胃管を挿入し、日齢1から少量のミルクを開始した。本日、ミルク注入前に胃内にミルクが残っており、腹部が軽度膨満していた。体温36.7℃。心拍数124/分、整。血圧52/24mmHg。呼吸数48/分。SpO2 99%(FIO2 0.25)。大泉門は平坦で、心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は軽度膨満があり、腸雑音は減弱している。四肢の運動があり、筋緊張に異常を認めない。胸腹部エックス線写真(臥位正面および左側臥位正面像)(A、B)を別に示す。

考えられる疾患はどれか。

気胸
肝腫瘍
消化管穿孔
消化管閉鎖
横隔膜ヘルニア

解答: c

114A56の解説

新生児の腹部軽度膨満と腸雑音減弱。新生児だけに「主訴」の記載がないのが悩ましい。画像では腹腔内の遊離ガスが指摘され、これはAの臥位正面像よりも、Bの左側臥位正面像で明瞭となる。消化管穿孔の診断。低出生体重児であり、壊死性腸炎の背景が考えやすい。
a 虚脱した肺は指摘できない。
b 肝の腫瘍は指摘できない。
c 正しい。上記の通り。
d なんと6割強の受験生がこれを選んでしまった。エックス線でみられる左側を中心とした腸管ガス像をmultiple bubble signと考えてしまったのだろう。気持ちは分からなくもないが、画像Bで左側臥位にした意図を汲み取ってほしい。
e 胸腔内の脱出した腸管像は指摘できない。

正答率:28%

テーマ:消化管穿孔の診断

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