114A28

3歳1か月の男児。3歳児健康診査で低身長を指摘され両親に連れられて受診した。在胎35週3日、母体妊娠高血圧症候群のため緊急帝王切開で出生した。出生体重2,160g(>10パーセンタイル)、身長44.0cm(>10パーセンタイル)。早産と低出生体重児のため2週間NICUに入院した。NICU入院後2日間は哺乳不良を認めた。1歳6か月児健康診査で歩行可能であり、「ママ」などの有意語は数語認められた。低身長、低体重のため6か月ごとの受診を指示されていたが受診していなかった。偏食はなく保育園で他の同年齢の子どもと比較して食事量は変わらない。自分の年齢、氏名を答えることができる。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。外性器異常は認めない。父の身長は175cm、母の身長は160cm。患児の成長曲線を別に示す。

可能性が高い疾患はどれか。

クレチン症
Cushing症候群
Prader-Willi症候群
成長ホルモン分泌不全性低身長症
SGA性低身長〈small-for-gestational-age〉

解答: d

114A28の解説

3歳児検診で低身長を指摘された男児。成長曲線を見ると、身長と体重共に-2.0SDを下回っている。在胎35週3日で誕生しており、出生時の身長体重は早産であることを加味すると正常範囲内である。自分の年齢と氏名を答えられることから精神発達遅滞はない。
a クレチン症であれば、腹部は膨隆し精神発達遅滞を伴うため考えにくい。
b Cushing症候群であれば低体重は見られにくい。
c Prader-Willi症候群であれば外性器異常や精神発達遅滞を伴うため考えにくい。
d 正しい。内分泌性の低身長であれば、乳児期までは正常に発達し、その後急に正常発達が停滞する。本症例の成長曲線を確認すると、1歳までは急速に伸びており、その後伸び率が停滞しているため合致する。
e 在胎週数に比して小さい場合をさす。本症例は出生身長、出生体重ともに10パーセンタイルを超えており、定義を満たさない。

正答率:28%

テーマ:成長ホルモン分泌不全性低身長症の診断

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