113F66

69歳の男性。発熱と下腹部の緊満感とを主訴に来院した。以前から排尿困難を自覚していた。数日前から頻尿と排尿時痛が出現し、今朝から38℃台の発熱と全身倦怠感および下腹部の緊満感を自覚したため受診した。腹部に肝・脾を触知しない。下腹部に緊満を認める。直腸指診で前立腺に圧痛を認める。尿所見:蛋白1+、糖(-)、ケトン体(-)、潜血1+、沈渣は赤血球5~9個/HPF、白血球50~99個/HPF。血液所見:赤血球435万、Hb 13.6g/dL、Ht 41%、白血球16,900、血小板16万。血液生化学所見:総蛋白6.6g/dL、アルブミン4.1g/dL、総ビリルビン0.6mg/dL、AST 30U/L、ALT 21U/L、血糖175mg/dL、Na 141 mEq/L、K 4.1mEq/L、Cl 105mEq/L。CRP 8.5mg/dL。

この時点での治療として検討すべきなのはどれか。2つ選べ

腎瘻造設術
抗菌薬の投与
抗コリン薬の投与
尿道カテーテルの挿入
LH-RHアゴニストの投与

解答: b,d

113F66の解説

高齢男性の発熱と下腹部緊満感。直腸指診で前立腺に圧痛を認めており、白血球50〜99個/HPFと膿尿もある。白血球上昇やCRP高値もあり、急性前立腺炎が考えやすい。前立腺が一過性に腫大することで尿閉を呈しているのであろう、そのため膀胱容積が増大し、下腹部に緊満を認めている。
a 腎瘻は尿管の閉塞により水腎症をきたしている場合に考慮する。本症例は膀胱までの経路は正常であるため腎瘻造設術は不要。
b 正しい。細菌感染が濃厚であり、抗菌薬投与が必須。
c 抗コリン薬を投与しては尿閉が悪化する。禁忌。
d 正しい。尿閉があるため、尿道カテーテル挿入を試みる。ただし、前立腺腫大が高度の場合、カテーテルが通過しないことも危惧される。その場合、膀胱穿刺をせざるを得ない。
e LH-RHアゴニストは性腺機能を低下させる治療であり、本疾患と関係がない。

正答率:96%

テーマ:急性前立腺炎の治療

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