113D60

55歳の男性。腰背部痛を主訴に来院した。30歳ころから腰背部痛をしばしば自覚していた。3か月前から腰背部痛が増悪し、両側肘関節および膝関節痛も出現したため受診した。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知せず、圧痛を認めない。両側肘関節、両側膝関節、両側臀部および両側アキレス腱付着部に圧痛を認める。血液所見:赤血球446万、Hb 13.8g/dL、Ht 42%、白血球6,200、血小板16万。血液生化学所見:尿素窒素12mg/dL、クレアチニン0.7mg/dL。免疫血清学所見:CRP 0.3mg/dL、抗核抗体陰性、リウマトイド因子〈RF〉陰性、抗CCP抗体陰性。骨盤部エックス線写真を別に示す。

この患者の腰背部痛の特徴はどれか。

発熱を伴うことが多い。
下肢に異常感覚を伴う。
腰背部痛は片側性である。
腰背部痛の発症時期が特定できる。
痛みは安静時に悪化し運動により改善する。

解答: e

113D60の解説

中年男性の腰背部痛。症状は30歳ころからみられているようだ。アキレス腱付着部に圧痛(☞腱付着部炎)、画像で提示されているbamboo spineと仙腸関節不明瞭化から強直性脊椎炎の診断となる。
a 病勢のピーク(30歳ころ)には発熱を伴うことが多いが、その後沈静化し、現時点では発熱はみられにくい。
b 脊髄や馬尾が障害される病態ではないため、感覚障害はみられない。
c 腰背部痛は両側性である。
d 緩徐な進行をみる病態であるため、何年何月何日に発症した、のようなピンポイントな特定は困難。
e 正しい。運動により改善する痛みが特徴である。

正答率:55%

テーマ:強直性脊椎炎患者の腰背部痛の特徴

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