113D61

52歳の男性。発熱を主訴に来院した。3日前に発熱と咳嗽および膿性痰が出現し、改善しないため来院した。5年前から糖尿病で内服治療中である。食事は普通に摂取でき、飲水もできている。意識は清明。体温39.1℃。脈拍112/分、整。血圧140/86mmHg。呼吸数18/分。SpO2 97%(room air)。左下胸部でcoarse cracklesを聴取する。血液所見:白血球17,900(桿状核好中球4%、分葉核好中球84%、単球2%、リンパ球10%)。血液生化学所見:AST 62U/L、ALT 54U/L、尿素窒素16mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL、血糖150mg/dL。CRP 10.6mg/dL。喀痰Gram染色でGram陽性双球菌を認める。尿中肺炎球菌迅速抗原検査が陽性である。胸部エックス線写真を別に示す。

患者への説明として適切なのはどれか。

「肺炎ですが重症ではないので外来で治療しましょう」
「炎症反応が高く重症化しやすいので入院して治療しましょう」
「肺炎球菌性肺炎は死亡率が高いので集中治療室に入室しましょう」
「肝機能障害があり、重症化しやすいので入院して治療しましょう」
「糖尿病を合併しており、重症化しやすいので入院して治療しましょう」

解答: a

113D61の解説

発熱を主訴に来院した52歳男性。胸部エックス線にて左下肺に浸潤影を認め、喀痰Gram染色にてGram陽性双球菌を、尿中肺炎球菌抗原検査が陽性であることから肺炎球菌性肺炎と診断する。
a 正しい。市中肺炎の入院指標としてCURB65基準とA-DROP基準とがある。いずれも0点であり外来治療を行う。
b 確かに炎症反応は高いが入院適応とはならない。
c 肺炎球菌性肺炎は罹患率が高く、65歳以上ではワクチン接種が推奨される。しかし、死亡率が高いとは言えず、加えて本症例は軽症の肺炎であるのでそもそも入院も不要である。
d 肝酵素の軽度上昇は認めるも重症化とは関係ない。
e 確かに糖尿病患者は重症化しやすいため、今後悪化し入院適応となることもあるので注意が必要である。しかし、現時点では必要ない。

正答率:50%

テーマ:市中肺炎の入院基準評価と患者への説明

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