113D51

47歳の男性。胸部絞扼感を主訴に来院した。高血圧症、脂質異常症で自宅近くの診療所に通院中であった。本日午前7時に下顎に放散する胸部絞扼感を突然自覚し、症状が軽減しないため15分後にタクシーで来院した。意識は清明。脈拍80/分、整。血圧156/80mmHg。呼吸数18/分。SpO2 98%(room air)。心音と呼吸音とに異常を認めない。血液所見:赤血球501万、Hb 15.1g/dL、白血球12,000、血小板22万。血液生化学所見:AST 40U/L、ALT 28U/L、LD 178U/L(基準176~353)、CK 100U/L(基準30~140)、尿素窒素11mg/dL、クレアチニン0.9mg/dL、総コレステロール212mg/dL、トリグリセリド168mg/dL、HDLコレステロール42mg/dL、Na 142mEq/L、K 4.7mEq/L、Cl 102mEq/L。CRP 1.2mg/dL。胸部エックス線写真に異常を認めない。心電図を別に示す。来院後、静脈路を確保し、ニトログリセリンを舌下投与した。

次に行うべき対応として適切なのはどれか。

心臓MRI
電気ショック
Holter心電図
冠動脈造影検査
安静時心筋シンチグラフイ

解答: d

113D51の解説

下顎に放散する胸部絞扼感を主訴に来院した47歳の男性。高血圧症、脂質異常症の既往がある。心電図ではII、III、aVF誘導にてST上昇を認め、急性心筋梗塞と考える。
a 心臓MRIは冠動脈疾患や心筋症を疑った際に行う検査である。本症例はすでに心電図にて急性心筋梗塞と診断でき、直ちに治療を行う必要があるため冠動脈造影検査に勝る検査はない。また、心臓MRIは20〜30分程度時間がかかってしまうため検査中に致死的不整脈を生じるなど危険を伴う。
b 現在不整脈を認めていないため不要である。
c すでに心筋梗塞の診断に至っているため不要である。
d 正しい。心電図変化から急性冠症候群を疑い、直ちに冠動脈造影検査を行い治療に移行する。
e 安静時心筋シンチグラフィ心筋への血流状況や心筋壊死の状態をみることはできるが、治療に直結しない。

正答率:98%

テーマ:急性心筋梗塞〈AMI〉の対応

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