113A68

3か月の乳児。昨晩から38℃台の発熱があり、持続するため両親に連れられて受診した。機嫌は悪く、哺乳量もいつもより少なく、少しうとうとしている。身長55cm、体重5,700g。体温38.7℃。心拍数142/分、整。呼吸数44/分。SpO2 97%(room air)。皮膚色は良好。大泉門は平坦で、2×2cmと開大している。咽頭に発赤を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、右肋骨弓下に肝を1cm、柔らかく触知する。尿所見:蛋白(-)、糖(-)、ケトン体2+、潜血(-)、沈渣は赤血球1~4/HPF、白血球100以上/HPF。血液所見:赤血球403万、Hb 10.0g/dL、Ht 31%、白血球21,300(桿状核好中球24%、分葉核好中球44%、好酸球2%、好塩基球1%、単球6%、リンパ球23%)、血小板12万、PT-INR 1.1(基準0.9~1.1)。血液生化学所見:総蛋白6.2g/dL、アルブミン4.5 g/dL、総ビリルビン0.8mg/dL、AST 27U/L、ALT 21U/L、尿素窒素6mg/dL、クレアチニン0.3mg/dL、血糖114mg/dL、Na 140mEq/L、K 5.0mEq/L、Cl 107mEq/L。CRP 5.1mg/dL。

次に行うべき検査はどれか。2つ選べ

脳波
尿培養検査
尿生化学検査
血液培養検査
排尿時膀胱尿道造影検査

解答: b,d

113A68の解説

発熱とnot doing wellを主訴に来院した3か月男児。白血球とCRPの上昇を認め感染症を考える。尿検査にて白血球数が上昇していることから尿路感染症をまず考える。
a 傾眠傾向であるのは感染のためである。治癒した後も意識レベルの改善を認めない場合や痙攣がみられた時には考慮するが、現時点では不要である。
b 正しい。原因菌を同定し抗菌薬の感受性を確認する。また、原因菌が複数である場合には複雑性尿路感染症として尿路の精査を行う必要がある。
c 血液検査にて電解質異常を認めず不要である。
d 正しい。乳児の尿路感染症は敗血症に移行する頻度が高いため、菌の広がりを確認するため血液培養を行う。
e 膀胱や尿管の形態異常、膀胱尿管逆流症の有無を確認するために行う。本症例では母親の免疫が残存しているであろう時期に感染症を起こしており、尿路系の異常が基礎疾患として存在するのではないかと考えるため後に必要となる検査である。ただ、感染が治癒してから行う検査であり、次に行うべき検査ではない。

正答率:78%

テーマ:小児尿路感染の検査

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