113A42

70歳の女性。発熱と右季肋部痛を主訴に来院した。6か月前に急性冠症候群に対して経皮的冠動脈形成術(ステント留置術)を受け、抗血小板薬を2種類服用している。1週間前から右季肋部に鈍痛を自覚していた。本日就寝前に発熱と右季肋部に強い痛みが出現したため救急外来を受診した。意識は清明。体温38.4℃。脈拍88/分、整。血圧142/92mmHg。呼吸数20/分。SpO2 96%(room air)。眼瞼結膜に貧血を認めない。眼球結膜に黄染を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦で、肝・脾を触知しない。右季肋部から心窩部に圧痛を認める。筋性防御を認めない。血液所見:赤血球398万、Hb 12.5g/dL、Ht 40%、白血球15,300、血小板21万。血液生化学所見:総蛋白6.9g/dL、アルブミン3.7g/dL、総ビリルビン4.9mg/dL、直接ビリルビン3.9mg/dL、AST 282U/L、ALT 164U/L、LD 478U/L(基準176~353)、ALP 849U/L(基準115~359)、γ-GTP 632U/L(基準8~50)、アミラーゼ210U/L(基準37~160)、クレアチニン0.8mg/dL、血糖99mg/dL、Na 140mEq/L、K 4.4mEq/L、Cl 99mEq/L。CRP 10mg/dL。腹部造影CTの水平断像(A、B)及び冠状断像(C)を別に示す。

まず行うべきなのはどれか。

胆嚢摘出術
経皮経肝胆道ドレナージ
内視鏡的胆道ドレナージ
内視鏡的乳頭括約筋切開術
体外衝撃波結石破砕術〈ESWL〉

解答: c

113A42の解説

高齢女性の発熱と右季肋部痛。痛みの部位からは肝 or 胆のトラブルを疑うが、ASTとALTの上昇に比べALPとγ-GTPの上昇が優位なため胆道トラブルが考えやすい。決定打は画像。Aでは胆嚢腫大と総胆管拡張を、Bでは十二指腸乳頭部の陰影が、Cでは総胆管下部を閉塞する陰影がみられる。総胆管結石または総胆管癌と考えられる。
a 症状が強く、急性期であるため胆嚢摘出術は行わない。また抗血小板薬内服中であり、出血へのコントロールが難しそうだ。
b 胆嚢管合流部位以下の閉塞であり、cが優先。また、経皮経肝胆道ドレナージでは皮膚の穿刺が必要となる。抗血小板薬内服中であり、出血へのコントロールが難しそうだ。
c 正しい。胆嚢管合流部位以下の閉塞には内視鏡的胆道ドレナージが第一選択となる。
d 結石であった場合、内視鏡的乳頭括約筋切開術により石を落とすことが可能。ただし、本患者では抗血小板薬内服中であり、避けるべき。
e ESWLは非急性期の胆嚢内結石に有用。

正答率:76%

テーマ:胆汁うっ滞にまず行うべき処置

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