113A43

66歳の女性。下腿の浮腫を主訴に来院した。2年前に関節リウマチと診断された。発症時には朝のこわばりが昼過ぎまで続き家事にも支障があったが、現在はプレドニゾロンとブシラミンの内服治療で症状はほとんどない。1か月前から顔と両下腿の浮腫を自覚し、体重が2kg増加したため受診した。今まで尿所見に異常は認められなかった。家族歴で父方祖母に関節リウマチがあるが、腎疾患はない。身長160cm、体重55kg。脈拍72/分、整。血圧154/80mmHg。呼吸数12/分。頭頸部と胸腹部に異常を認めない。両下腿に圧痕を残す浮腫を認める。関節の圧痛、腫脹、変形を認めない。尿所見:蛋白3+、糖(-)、潜血(±)、沈渣に変形赤血球2~3/HPFを認める。随時尿の尿蛋白/クレアチニン比は1.5g/gクレアチニン(基準0.15未満)。血液所見:赤血球395万、Hb 13.2g/dL、Ht 40%、白血球7,800、血小板10万。血液生化学所見:総蛋白6.2g/dL、アルブミン3.5g/dL、尿素窒素13mg/dL、クレアチニン0.5mg/dL。CRP 0.2mg/dL。腹部超音波検査で腎臓に異常を認めない。

対応として最も適切なのはどれか。

腎生検を行う。
NSAIDsを開始する。
ブシラミンを増量する。
生物学的製剤を開始する。
プレドニゾロンを減量する。

解答: a

113A43の解説

高齢女性の下腿浮腫。背景に関節リウマチがある。蛋白3+、アルブミン3.5g/dL、と完全には診断基準を満たさないが、ほぼネフローゼ症候群状態となっている。関節リウマチと関連するネフローゼ症候群には膜性腎症とアミロイド腎症とがあり、これらを念頭に精査を行うこととなる。なお、種明かしをしてしまうと、抗リウマチ薬の1つであるブシラミンは薬剤性の膜性腎症を呈することが知られている。
a 正しい。腎生検を行えば、病理診断が可能となる。
b NSAIDsは腎障害を惹起する。主訴である下腿浮腫の対応にもならないし、無効な治療である。
c 今回の病態の原因と考えられる薬剤。減量/中止を考慮するならまだしも、増量はおかしい。
d 生物学的製剤は関節リウマチ自体がコントロールできない場合に併用する。今回は関節リウマチ自体の症状はほとんどない、とのことで不要。
e プレドニゾロン(副腎皮質ステロイド)はネフローゼ症候群の治療に概して有効。ゆえに中止する必要はない。

正答率:72%

テーマ:関節リウマチ〈RA〉を背景に尿蛋白がみられる患者への対応

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