113A32

生後11日の新生児女児。2日前から嘔吐を繰り返し哺乳力が低下したため、両親に連れられて来院した。在胎39週、出生体重3,180g、Apgarスコア9点(1分)、9点(5分)で出生した。完全母乳栄養であるが、来院の3日前までの哺乳力は良好で、1日2回の黄色顆粒便を排泄していた。出生した産科診療所から新生児マススクリーニングで異常を認めたと本日、家族が連絡を受けた。来院時は活気がなく、泣き声は微弱であった。身長52cm、体重3,230g。体温36.3℃。心拍数160/分、整。血圧60/30mmHg。呼吸数50/分。SpO2 96%(room air)。毛細血管再充満時間4秒と延長している。全身の色素沈着と軽度の黄染とを認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、右肋骨弓下に肝を1.5cm触知するが、脾は触知しない。腸雑音に異常を認めない。大泉門は径1.5cmでやや陥凹している。陰核の肥大を認める。診断のため血液検査を施行することとなった。

異常高値を呈する可能性の高い検査項目はどれか。

血糖
カリウム
静脈血pH
アンモニア
直接ビリルビン

解答: b

113A32の解説

繰り返す嘔吐を主訴に来院した生後11日の女児。新生児マススクリーニングの検査項目に含まれ、活気がなく、陰核肥大を認めるといえば、先天性副腎皮質過形成である。
余談であるが、毛細血管充満時間4秒と延長し、大泉門の陥凹を認めることから脱水を考え、補液もしたいところである。
a コルチゾールの産生が低下し、血糖は低下する。
b 正しい。アルドステロンの合成低下により低ナトリウム血症、高カリウム血症となる。
c アルドステロンの合成低下によりH+が排泄できず、代謝性アシドーシスとなる。
d 肝疾患や尿素サイクル異常症でアンモニア高値を認める。
e 母乳性黄疸の場合にはビリルビンが上昇するが、その場合は間接ビリルビンである。

正答率:84%

テーマ:先天性副腎皮質過形成症(21-水酸化酵素欠損症)の検査項目

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