112F50

66歳の女性。後頸部痛の増強と左上肢のしびれとを主訴に来院した。進行肺腺癌に対して外来で抗癌化学療法を施行している。以前から頸胸椎転移による後頸部痛があり、抗癌化学療法と併行してアセトアミノフェンとオキシコドンによる疼痛治療を受けていた。良好な疼痛緩和が得られていたが、2週間前に後頸部痛の増強と新たに左上肢のしびれが出現し、睡眠も妨げられるようになったため受診した。第一胸椎レベルの軟部条件の胸部CTを別に示す。

対応として適切でないのはどれか。

放射線療法
椎弓切除術
オキシコドンの増量
リン酸コデインの追加
オピオイドローテーション

解答: d

112F50の解説

高齢女性のターミナルケア。画像ではがんの転移によると思われる椎体の破壊と、左上腕骨への骨転移がみられる。2週前から新たな痛みとしびれ、睡眠障害が出現してきており、さらなる疼痛管理が必要とされる局面だ。
a 骨転移による痛みのコントロールに放射線療法が有効、というテーマは109E27などで頻出。
b しびれは椎体破壊による神経根圧迫による。椎弓切除術によって、これを減少することが可能。
c 増量により疼痛を減少させることができる可能性が残っている。
d 誤り。オキシコドンは強オピオイド。この段階でリン酸コデイン(弱オピオイド)を追加しても、効力には乏しいと考えられる。
e オピオイドの副作用により鎮痛効果を得るだけのオピオイドを投与できない時や、鎮痛効果が不十分な時に、投与中のオピオイドから他のオピオイドに変更することをオピオイドローテーション〈オピオイドスイッチング〉と呼ぶ。本症例でいえば、オキシコドンをモルヒネに変更する、などが考えられる。
※70%弱の受験生がbを選んでしまった。ターミナルの患者に手術していいものか、悩んだようだ。が、「手術は拒否している」といった文言が書いてない以上、有効な治療であればバツとはいえまい。独りよがりな先入観から問題を一面的に見てしまうことの無いよう、気をつけたい。

正答率:20%

テーマ:進行肺腺癌の頸胸椎転移への対応

フォーラムへ投稿

関連トピック