112E34

64歳の女性。左下腿の腫脹と疼痛のために救急車で搬入された。3日前から左足部が腫脹し、本日は下腿全体に広がって動けなくなったため救急車を要請した。最近の外傷歴はない。昨日からは倦怠感が強く、食事を摂れていない。健診で糖尿病の可能性を指摘されていたが、治療は受けていなかった。意識はやや混濁。身長154cm、体重72kg。体温38.4℃。心拍数112/分、整。血圧98/64mmHg。呼吸数20/分。SpO2 96%(room air)。腹部は平坦、軟。左下腿に発赤、熱感および握雪感を伴う腫脹がある。尿所見:蛋白1+、糖3 +、ケトン体2+、潜血1+、沈渣に白血球を認めない。血液所見:赤血球468万、Hb 13.9g/dL、Ht 42%、白血球16,300(桿状核好中球30%、分葉核好中球50%、好酸球1%、好塩基球1%、単球6%、リンパ球12%)、血小板41万。血液生化学所見:総蛋白6.2g/dL、アルブミン2.6g/dL、総ビリルビン0.9mg/dL、直接ビリルビン0.2mg/dL、AST 28U/L、ALT 16U/L、LD 177U/L(基準176〜353)、ALP 285U/L(基準115〜359)、γ-GTP 132U/L(基準8〜50)、アミラーゼ 50U/L(基準37〜160)、CK 242U/L(基準30〜140)、尿素窒素48mg/dL、クレアチニン1.6mg/dL、尿酸7.9mg/dL、血糖398mg/dL、HbA1c 8.8%(基準4.6〜6.2)、Na 141mEq/L、K 5.4mEq/L、Cl 97mEq/L。CRP 18mg/dL。下腿の写真(A)と左下腿CT(B)とを別に示す。

直ちに行うべき処置はどれか。

局所切開
利尿薬投与
外用抗菌薬塗布
アドレナリン静注
ステロイドパルス療法

解答: a

112E34の解説

高齢女性の左下腿腫脹と疼痛。事前に可能性を指摘されていた糖尿病であるが、血糖値とHbA1cの値から確定となる。尿中ケトン体も陽性であり、糖尿病性ケトアシドーシス〈DKA〉の状態だ。左下腿には発赤と熱感に加え、握雪感があり、Bの画像でもガス像がみられる。Aでは発赤腫脹を視覚的にとらえることができる。ガス壊疽の診断。
a 正しい。局所切開し、創開放する。デブリドマンと併行して行いたい初期対応だ。
b 血圧が低下傾向にあり、利尿薬を投与するのは危険である。
c 抗菌薬は点滴静注する。外用では全身へ作用を届かせることが困難。
d 心停止状態の患者に行う処置である。
e 易感染性を助長させ、感染が増悪してしまう。
104I65の類似問題であり、正答率は極めて高かった。

正答率:99%

テーマ:ガス壊疽に直ちに行うべき処置

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