112E29

35歳の男性。ふらつきを主訴に来院した。1年前に仕事上のトラブルをきっかけに退職した。その後は自宅に閉じこもりがちになり、食事は不規則で菓子パンやおにぎりを好んで摂取していた。1週間前から歩行時のふらつきが目立つようになり四肢のしびれ感も訴えるようになったため、心配した家族に付き添われて受診した。意識は清明。脈拍72/分、整。血圧124/68mmHg。腱反射は、上肢では減弱し、膝蓋腱反射とアキレス腱反射は消失している。Babinski徴候は陰性である。四肢筋力は遠位部優位に低下している。両下肢で痛覚過敏、振動覚の低下を認める。

この患者に補充すべきなのはどれか。

亜鉛
葉酸
ニコチン酸
ビタミンB$_1$
ビタミンB$_{12}$

解答: d

112E29の解説

食事が不規則で菓子パンやおにぎりといった栄養価の偏りがちな食生活をしている35歳の男性。腱反射減弱(消失)やBabinski徴候陰性などからは末梢神経障害が疑われる。遠位筋優位な筋力低下も矛盾しない。ビタミンB1欠乏による脚気の診断。
a〜d 以上より、dのビタミンB1が正しい。
e 約10%の受験生がビタミンB12を選択してしまった。B1とB12の覚え違いであれば余りに初歩的で悲しみを覚える。B12欠乏によっても末梢神経障害がみられることはあるも、この文脈からあえてB12を選ぼうと思うのは本筋から外れている。

正答率:89%

テーマ:脚気の患者に補充すべきもの

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