112E30

23歳の女性。排尿時痛と下腹部痛とを主訴に来院した。性交の3日後から排尿時痛を感じるようになった。性交の4日後に黄色帯下と下腹部痛が出現したため受診した。身長160cm、体重52kg。体温37.6℃。脈拍88/分、整。血圧104/72mmHg。呼吸数20/分。腹部は平坦で、下腹部に反跳痛を認める。内診で子宮は正常大で圧痛を認める。付属器は痛みのため触知できない。膣鏡診で外子宮口に膿性分泌物を認める。

この患者に行う検査として適切でないのはどれか。

尿沈渣
帯下の細菌培養
経膣超音波検査
子宮卵管造影検査
帯下の病原体核酸増幅検査

解答: d

112E30の解説

若年女性の排尿時痛と下腹部痛。性交後数日からの症状発来であり、外子宮口より膿性分泌物があることから淋菌感染を疑う。
a 尿路感染を疑った際の第一手となるスタンダードな検査だ。
b 淋菌感染を疑っている以上、細菌培養は妥当な検査だ。
c 下腹部痛がみられることから、骨盤内炎症性疾患〈PID〉に至っている可能性が高い。また、子宮内に膿が貯留している可能性も高い。こうした炎症の広がりや膿の貯留を超音波検査にてマクロに判定することが可能。
d 誤り。不妊症などで行われる検査である。造影剤を膣→子宮→卵管と注ぐ検査であり、本症例では炎症をむしろ広げてしまう恐れがある。
e 淋菌であればbやグラム染色にて判別しやすいが、クラミジアを混合感染している可能性も高く、核酸増幅検査も有用。

正答率:78%

テーマ:尿道炎と骨盤内炎症性疾患〈PID〉を疑う患者への検査

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