112D40

85歳の男性。右利き。左上肢の感覚鈍麻を主訴に来院した。昨夜、入浴中に左上肢全体の感覚が鈍いことに気付いたが、そのまま就寝した。今朝になっても改善していなかったため、不安になり受診した。60歳台から高血圧症と糖尿病があり、降圧薬と経口糖尿病薬とを内服している。意識は清明。脈拍68/分、整。血圧164/92mmHg。脳神経に異常を認めない。上肢のBarré徴候は陰性で、両下肢の筋力低下も認めない。腱反射は全般に軽度亢進しているが、左右差は認めない。左上肢に表在覚鈍麻があり、閉眼すると左母指を右手指でうまく摘めない。左下肢および右上下肢に感覚異常はない。

別に示す頭部MRIの拡散強調像(①〜⑤)のうち、この患者のものと考えられるのはどれか。

解答: b

112D40の解説

高齢男性の感覚鈍麻。高血圧症と糖尿病とがあり、脳梗塞を呈した可能性が高い。出現している症候から脳梗塞の原因部位を判定させる臨床的良問。ポイントは感覚障害が左上肢に限局している点であろう。たとえば脊髄が障害されたのであれば、それ以下のレベル全てで障害がみられうる。大脳皮質の感覚野(頭頂葉の中心後回)が障害されたと考えることとなる。
a 中心後回を含んではいるも、内側まで病変が及んでおり、下肢にも障害は出現する。
b 正しい。中心後回の脳梗塞であり、左上肢に限局する障害の責任病巣として妥当。
c 右前頭葉の障害。
d 島、海馬、側頭後頭移行部の障害。
e 右橋の障害。

正答率:66%

テーマ:症状から指摘する患者のMRI像(中心後回の脳梗塞)

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