112D39

2歳の男児。発熱と左膝痛とを主訴に母親に連れられて来院した。2週間前から弛張熱、跛行および下腿の皮疹がみられるようになった。1週間前から左膝を痛がるようになった。抗菌薬を内服しても解熱しないため受診した。身長84.2cm、体重10.3kg。体温38.5℃。脈拍168/分、整。血圧126/62mmHg。皮膚は両側の下腿に2cm大の淡紅色の紅斑を認める。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。口腔内にアフタを認めない。咽頭に発赤はなく、扁桃に腫大を認めない。両側の頸部に径1.5cmのリンパ節を3個ずつ触知する。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝を右季肋下に2cm、脾を左季肋下に3cm触知する。左膝関節の腫脹と圧痛とを認めるが、可動域制限はない。赤沈90mm/1時間。血液所見:赤血球390万、Hb 9.8g/dL、Ht 32%、白血球10,400(桿状核好中球1%、分葉核好中球77%、好酸球1%、好塩基球1%、単球8%、リンパ球12%)、血小板38万、PT-INR 1.2(基準0.9〜1.1)、血漿フィブリノゲン469mg/dL(基準185〜370)、フィブリン分解産物9.2μg/mL(基準5未満)。血液生化学所見:総蛋白5.8g/dL、アルブミン3.0 g/dL、AST 33U/L、ALT 6U/L、LD 374U/L(基準397〜734)、CK 57U/L(基準30〜140)、尿窒素6mg/dL、クレアチニン0.2mg/dL、Na 137mEq/L、K 4.3mEq/L、Cl 100mEq/L。免疫血清学所見:CRP 3.2mg/dL、matrix metalloproteinase-3〈MMP-3〉196ng/mL(基準37〜121)、リウマトイド因子〈RF〉3IU/mL(基準15未満)、抗核抗体陰性。両膝の造影MRI水平断像を別に示す。

考えられる疾患はどれか。

川崎病
IgA血管炎〈Schönlein-Henoch紫斑病〉
リウマチ熱
化膿性関節炎
若年性特発性関節炎〈JIA〉

解答: e

112D39の解説

2歳男児の発熱と膝痛。弛張熱、淡紅色の紅斑(サーモンピンク疹を疑う)、リンパ腫や肝脾腫といったキーワードより若年性特発性関節炎〈JIA〉を疑う。画像では右に比べ、左が有意に腫大している。また高信号域も目立ち、関節炎があることを読み取れる。過去問でも110I78にて「関節リウマチの早期の病変評価に関節MRIが有効」という知識が問われている。
a 年齢は合致するも、結膜炎や口腔病変といった特徴的な所見に乏しい。
b 出現する皮疹は紅斑ではなく紫斑である。
c 弛張熱ではなく、稽留熱をみる。
d 抗菌薬に反応性がある。また、MRIにて膿の集積をみる(本画像のように広範な広がりを伴った高信号域にはならない)。
e 正しい。上記の通り。

正答率:93%

テーマ:若年性特発性関節炎〈JIA〉の診断

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