112C37

1歳3か月の女児。長引く咳嗽と鼻汁とを主訴に母親に連れられて来院した。1週間前に39℃台の発熱、鼻汁および咳嗽が出現し、かかりつけ医でセフェム系抗菌薬と鎮咳薬とを処方され、2日後に解熱した。その後も内服を続けているが、鼻汁と痰がらみの咳が続いている。鼻閉のために時に息苦しそうな呼吸になるが、夜間の睡眠は良好である。食欲は普段と変わらず、活気も良好でよく遊ぶ。呼吸器疾患の既往はない。身長75cm、体重10.2kg。体温37.1℃。脈拍112/分、整。呼吸数30/分。SpO2 98 % (room air)。咽頭に発赤と白苔とを認めない。心音に異常を認めない。鼻閉音を認めるが、呼吸音には異常を認めない。

患児に対する対応として適切なのはどれか。

抗菌薬をマクロライド系抗菌薬に変更
ロイコトリエン受容体拮抗薬の追加
内服薬を中止し経過観察
抗ヒスタミン薬の追加
β$_2$刺激薬の吸入

解答: c

112C37の解説

幼児の長引く咳嗽と鼻汁。1週前の感冒症状に対し、セフェム系抗菌薬と鎮咳薬とが処方され、2日後に解熱しているという。つまりはセフェム系抗菌薬は有効だったわけだ。その後も鼻汁と湿性咳嗽が続いているとのことで、これに対する対応が問われている。
a 上記の通り、セフェム系抗菌薬は有効である。本文中の記載だけからは新規に別の菌に感染して、別の病態が生じてきている様子は読み取れない。ゆえにマクロライド系に変更する意義は乏しい。
b・d I型アレルギーを背景とした咳嗽で考慮される。むろん(咳)喘息やアレルギー性鼻炎の合併を完全に否定することはできないが、与えられた情報だけからbやdを選ぶのは唐突な感があり、得点を確保しようというスタンスの受験生が実施すべき行動ではない。
c 正しい。「夜間の睡眠は良好」「食欲は普段と変わらず」「活気も良好」といった記載からはcを選べ、という出題者の意図を感じる。
e 気管支喘息に有効。b・dで示した内容と同じく、あえて選んでいくスタンスをとるべきではない。
※どんな受験生であっても「あ、この問題は割れるな」とわかるだろう問題。当然ながら出題者もそれを意図して作っているわけだ。こういう問題では独りよがりな思考プロセスを突き進むタイプの受験生が痛い目をみる。しっかり出題者と手をにぎること。そして万が一本番で失点してしまっても気にしないこと。本問は蓋を開けてみれば正答率が50%を切っているわけで、合否は分けていない。これしきのメンタル面でふるい落とされる受験生は医師としていらない、という厚労省のメッセージであり、この正答率は確信的なのだ。
※本問を過去問として解く将来の受験生も同様。きっちりと解答を出そうと、幼児の咳嗽・鼻汁等のガイドラインを紐解き始めると泥沼だ。近年のこれ系の問題はもはや知識ではない。臨機応変に総合力から出題者の意図を汲み取れるか、がすべて。

正答率:48%

テーマ:細菌感染治癒過程で咳嗽と鼻汁・鼻閉が残る患児への対応

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