112B31

83歳の女性。右大腿骨頸部骨折のため手術を受けた。手術当日の夜は意識清明であったが、手術翌日の夜間に、死別した夫の食事を作るために帰宅したいなど、つじつまの合わない言動が出現した。これまで認知症を指摘されたことはない。

この病態について正しいのはどれか。

生命予後は悪化しない。
抗精神病薬は禁忌である。
認知症の初発症状である。
意識の混濁が短時間で変動する。
ベンゾジアゼピン系薬剤が適応である。

解答: d

112B31の解説

高齢女性の手術後。翌日の夜間につじつまの合わない言動が出現しており、せん妄と考えられる。
a 生命予後は悪化する。
b 抗精神病薬(リスペリンドンなど)が治療薬となる。
c 認知症(緩徐な進行)とせん妄(急速な完成)とは別の概念である。むろん認知症を背景にせん妄をきたしやすくなる患者もいるが、それは初発症状といった議論とは別だ。
d 正しい。cに示したように、急速に完成し、変動しやすいのがせん妄の特徴。
e ベンゾジアゼピン系薬剤はせん妄のリスクとなる。が、アルコール離脱症状の治療には有効。ゆえに、アルコール離脱振戦せん妄ではアルコール離脱症状の緩和のため用いることがある。同じくせん妄であるが、使い方が異なるので区別しておこう。

正答率:75%

テーマ:術後せん妄について

フォーラムへ投稿

関連トピック