112B32

救急外来に日本語を話せない40歳の外国人女性が来院した。病院に勤務している外国人医師が英語で医療面接と身体診察とを行い、記載した診療録の一部を示す。

Presenting complaint:

Severe lower abdominal pain.

History of presenting complaint:

Sudden onset of right lower abdominal pain 6 hours ago.

Pain has been gradually worsening.

Slight nausea but no vomiting or diarrhea.

Last menstruation was 9 weeks ago.

She noticed vaginal spotting* 3 days ago.

Past medical and social history:

Appendectomy at 18.

Married.

Examination:

Temperature 36.3℃.

Right lower abdominal tenderness without rebound tenderness.

Bowel sounds are reduced.

*vaginal spotting(少量の性器出血)

可能性の高い疾患はどれか。

Crohn's disease
Ectopic pregnancy
Pelvic inflammatory disease
Premenstrual syndrome
Ureterolithiasis

解答: b

112B32の解説

a クローン病である。現病歴を読むと下痢はなく考えにくい。
b 正しい。異所性〈子宮外〉妊娠である。性器出血の存在など、診療録の全てに矛盾しない。
c 骨盤内炎症性疾患である。腹痛をみてもよいが、不正性器出血はない。
d 月経前症候群である。軽い腹痛をみるも激痛ではない。また、最終月経が9週前とのことからは月経前というより妊娠を疑う。
e 尿管結石症である。主に背部痛ではあるが、下腹部痛でも疑う根拠となる。しかし、性器出血は認めない。

【全文訳】
主訴:強い下腹部痛
現病歴:6時間前に突然右下腹部痛が生じた。痛みは徐々に増悪してきている。わずかな悪心はあるが、嘔吐や下痢はない。最終月経は9週間前。3日前に少量の性器出血を認めていた。
既往歴:18歳時、虫垂炎で手術
婚姻歴:既婚
身体所見:体温36.3℃、右下腹部に圧痛を認めるも、反跳痛はない。腸蠕動音は減弱している。

正答率:96%

テーマ:英語で書かれた診療録〈カルテ〉から可能性の高い疾患(英語問題)

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